中国の医学


 薬剤治療法   鍼灸治療法 


中国伝統医学

薬剤治療、鍼灸治療、按摩(指圧〕気功等があります。どれも広い中国各地の気候、風土、歴史等に よって,それぞれが生まれ発達したものです. それが数千年の時を経て集約、統合、淘汰されて2000年ほど前に医学としてまとめられたのです。それがどういう医学であるか、詳細は切り捨てて思い切って言ってしまうと「体表観察の医学」これに尽きます。

そして、そこから導き出した哲学は宇宙との調和、自然との共生です。とにかく現在のようにエックス線、超音波、ましてやMRや 内視鏡などありませんから人間の体表に現れたどんな些細な情報も漏らさず観察、チェックして患者の現状を把握して対策を立てるしかありません。

人間の体表面積全て(畳1.5畳ぐらいでしょうか)を、それこそミリ単位で 皮膚の色つや、湿り気、弾力、筋肉の変化などを調べます。それに無論、行動や排泄物、声質など外に現れる情報を統合して病気の診断をする医学です。

これが信頼に足る医学となる為には当然、途方もなく長い時間, 年月と膨大な数の実験モデルが必要です。 しかしこれが約2000年ほど前に中国で完成していたのです。 中国古代伝統医学の病理、解剖学などは観察結果に法則性を持たせる為に、知恵をしぼり後で考案した様なものだと言えると思います。

(日本の中国医学について)江戸時代中期(1774年)杉田玄白がオランダの医学書を翻訳した 「解体新書」は日本における日本人による、西洋医学の幕開けスタートの号砲のようなものだったと思いますが 彼をして、中国医学の破棄を決意させたのはオランダ医学書にあった精密リアルな解剖図絵でした。この解剖図の元になっった絵は、 ルネッサンスの天才イタリア.フィレンツェのミケランジェロのものだともいわれています。時代を超越した素晴らしさは当然でしょう。

実際のその時代の西洋の医学レベル以上にその解剖図、あえてこの際は人体内部をモチーフにした一連の絵画と呼びますが、その素晴らしさが玄白を感動させたのです. すなわち、玄白はオランダの医学というよりもミケランジェロの才に感動したと言いかえる事が出来るのではないでしょうか。 とにかくここであることが解ります。 中国医学が体表観察医学であるとは玄白は全く知らなかったということです。体表観察で導き出した結論の集大成である中国古代医学にとって解剖の必要性は低いのです。

中国伝統医学における解剖図はあくまで結果から逆算した推察、ロマンのようなものです。 それを彼は知らなかったのですね。 しかし,偏見を持たずにあくまで観察した部分だけを抽質すれば 古代中国医学は純粋に科学する心の基本(事実の観察)によって生まれた医学ですからそこには必ず真実が存在します。現在の私達の人体に関する研究が将来、更に進めば、もっと科学的医療として再評価されるはずです。

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 薬剤治療法 

日本では漢方薬、本場中国では中薬とか方剤と言います。
まず診断法ですが、「四診
」で行います
問診(聞き取り)や望診(見た目、舌診など)切診(脈診や触診)聴診等で得た情報をまとめ「陰陽五行説」に基づいて診断します。日本の漢方薬では特に腹診がポイントになります。

「脈診」は前記のインド医学で説明しました様にこれで五臓六腑の状態を判断します。(元々は脈診は中国医学の方が起源なのです。)これらの情報を総合判断して、病状がそれぞれの患者の身体をキャンバスにして表現したトラブルのパターン(これを「証」と言います)を判定します。

中国の薬剤治療ではこの「証」を正しく判定する事が全ての基本です。そしてこの「証」に応じて薬を処方します。西洋医学のように「病名」によって薬を決めるのではありません。従ってこの「証」が同じ患者同士ならば、 西洋医学的に言って「心臓病」の患者も「腰痛」の患者も同じ薬を飲んで病気を治すのです。
1996年春、全国紙で漢方薬の副作用で10人が死亡したと報じられました。病院で肝臓病の患者に出された、小柴胡湯という漢方薬で88人が間質性肺炎を起こしその内10人が亡くなったのです。

これは診断方法の違う漢方医学の「証」を西洋医学の「病名」と混同して投薬した診断ミスによるものです。 最近は病院でも漢方薬が処方される様になりましたが、 漢方診断の基本である脈診や舌診、腹診によって「証」を決めずに、西洋医学の異なった病理学に基づいて診断された「病名」で処方している現状では、今後もこのような過誤事件が日本で起こる可能性は否めません。


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鍼灸治療法

正確にはあくまで「陰陽五行論」に基づいて診断する「中国鍼灸」と「日本鍼灸」は随分と違うのですが、このページでは日本で一般的に行われている「日本鍼灸」治療法を 「ツボについて」「鍼を刺すと身体はどうなるの」の項で説明していますので、そちらをお読み下さい。


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