切診について

鍼を刺した刺激によって、まず血行が促進されます。その結果新陳代謝が活発になり、人間が元来持っている自然治癒力を増加させます。同時にそれは免疫力を強化させ抵抗力を付け、損傷した組織や器官の修復を速め、
代償機能を発揮させるなどの生体エネルギーの強化につながるのです。これらの効果は世界各国の研究機関において度々研究、証明されています。

鍼灸治療効果の科学的研究は日本はもとより、中国は当然としても、ヨーロッパ特にフランスや近年ではアメリカで活発に研究、証明されています。最近ではアメリカでエイズの治療に高い効果がある事が証明されています。
あのオウムによる地下鉄サリン事件の被害者のサリン中毒症にも高い効果があった旨の症例報告もあります。
一般的な説明は以上ですが、血行が促進されるだけなら、何らかの方法で温めたり、運動しても同様の効果があるはずです。
やはり鍼灸治療の特異性は「人体の表層の歪みを正す」一言で言えばこれに尽きるのです。 表層にあるツボ状態の改善は、そのツボに対応した体表又は体内の障害(トラブル)に即リンクしてこれを解消するのです。


つまり、ツボを刺激してツボ状態を改善する事は対応部分(障害をかかえた体内部)への自然治癒エネルギーを増大させ、病んだ部分に集中的に増大させた治癒エネルギーを向かわせるのです。

ここで鍼灸医学の診察について少し説明します。
「望診」「聞診」「問診」「切診」これを四診と言ってこれで患者さんの病態を把握します。

望、聞、問これらは字の意味から判ると思いますが,問題は「切診」です。

西洋医学の四診は「視診」「聴診」「問診」「触診」ですから,「切診」とは「触診」と同意に使っている医師もいますが、「脈診」はともかくとして、一応これは間違いです。
「皮」=表層部分に歪みが生じると、ノーマルな部分とそうでない部分との間に境界線、もしくは不連続線とでも表現出来るものが認められます。

「地質学での断層」「気象学における前線」のようなものと考えて下さい。

ここで肩こりの人を例にとって説明しましょう。
肩だけでなく、後頭部から腰部まで全て凝っているという人は、いないわけではないが一般的ではありません。
そこでこの肩こりが頸部や背部のどの位置まで及んでいるかを調べます。いわば凝りの広がりを調べるのです。
後頭部まで凝りのある人、頸椎の5,6番目までの人、背部では胸椎の5番目、または7,8番目にまで及ぶ人 等々色々な場合があります。

異常の(この場合だと凝りの)ある部分と無い部分を「切り分けるように区分けする。」そういう診察を「切診」というのです。
もう少し詳しく表現しますと、身体を「正の部分」=過不足無く元気な部分「虚の部分」=元気、活力が低下している部分に区分けするのです。

大工さんが材木を加工する前に墨付けをするのと同じ事をします。
「切診」によって身体の不連続線を見つけて、正 、邪実、虚の区分けを行ったら、まずその「虚」の部分から元気が蘇るように補法の鍼灸を行います。

次ぎに「邪実」の部分には寫法(鎮静法)の鍼灸を行い、その部分のトラブルを鎮め、取り除くのです。とにかく弱っているところ「虚」の部分から治療を行うのが原則です。

このようにして歪みが正され身体のバランスの回復に成功したなら、自ずと血 行も促進され、自然治癒力、免疫力をも増大させると云うわけです。

よく質問されるのですが、類似療法の、カイロプラクティックや整体療法と比べると、人体に大きな力を加えませんし、速攻で治す病気が300種類以上あり安全性も極めて高い点等で優れています。鍼灸治療は赤ちゃんからお年寄りまでどなたにも適しているのです。

切診の中でも重要な「脈診」についての説明

次は"どんな病気に効果があるの?"

ツボ探検隊の表紙に