性別 = 男性 age = 40to49 メッセージ = すみません一つ質問があるのですが? 体にツボがあるのは良く知ってるのですが 口の中にはツボはないのでしょうか、たとえば やせるツボとかないのでしょうか? ぜひ教えて下さいお願いいたします。 |
Y 様へ
口の中にあるツボって本当に少ないんですよ。 その理由ですが口の中というのは人間にとって一番大切な飲食物の取り入れ口ですから狭いエリアに血管や神経が密集しています。 その為に無用心な刺激をする と新たに重大なトラブルの原因を作ってしまう可能性があるからではないでしょ うか。 赤ちゃんを見ても分かるとおり人間も発達過程では、なんでも口に入れ、舌でなめることで 異物に対する情報を得ていますね。 舌というのはこの様に人間の基本的な生存のための感覚器で情報収集システムの原点であって、ここで得た情報は脳に伝えられ、脳から各内臓に伝わって行きま す。 口(舌)から発して脳へ、脳から各臓器への伝達ルートは人間を含めたおそらく全ての生物 の生存に関する最も原始的な情報伝達プロセスのはずです。 つまり舌から各臓器へは脳を経由してしっかりと強固なリンクが存在している訳 です。 脳から内臓へリンクしている事は、例えば自分が食べた物が後で腐っていたかも 知れないとか蛇やねずみの肉だったとか聞かされると思わずグエッと吐き出しそ うになったり、胃の具合が悪くなったり下痢をする人だって居ますよね。 つまり私達は口を経由しながらも結局のところは脳で物を食べているってことでしょう? 又それは当然ながら、内臓の状態を脳が把握しなければコントロールも出来ない事から逆方向にもそのまま情報がリンクされているはずですから 各臓器から脳を 経由して舌の上に内臓の状態がすっかり開示されていると考える東洋医学(インド、チベ ット、中国)における「舌診断術」が決して荒唐無稽な診断法ではないと分かっ ていただけるのではないでしょうか。 この様に舌は情報収集の為のアンテナ的役目を果たす感覚器だけに痛みに対しても非常 に敏感ですから針を刺すことなど苦痛が大きくて安易には出来ませんね。 ですから東洋医学ではもっぱらツボとしての機能を求めるのではなく むしろ人体内部の情報を開示する機能のみを重用している感じですね。 これは「舌診」といって「脈診」と合わせて中国伝統医学における診断の最重要 ポイントになっています。 中国伝統医学では(特に生薬治療) この「舌診」と「脈診」それに本人に症状を聞き取る「問診」でほぼ診断を確定 してしまいます。 中でも舌診には重きを置きます。 (日本鍼灸の場合はツボ診断も行いますのでこの限りではない) 前置きが長くなりましたが口の中には全身にある 14の正規のルート(14経絡)ではないツボ群である「奇穴」のツボがあります。 舌の裏側に左右2つ、上に1つの3個、口内の皮膚で頬の裏側に左右2個の3種合計 5個のツボが使われています。 前記のごとく舌は各内臓とは脳を介して、あるいは直結してリンクしているので すから、本来ならばもっと多くの病気を治すツボがあって良いはずです。 例えば 微弱電流をピンポイントで流すとか危険性の無い適切な舌の刺激方法などが研究 開発され、そのつもりで探ればもっと多くの特に消化器系、呼吸器系、内分泌系の病気を治す効果の高いツボを発 見することが出きるはずだと思います。
①金津(きんしん) 玉液(ぎょくえき) 中国医学では体液のことを「津液」(しんえき)と言います。 おそらくその一部は内分泌ホルモンや消化酵素を含んで表現していると思うのですが、 この津液を整えるツボという意味で 左右で、中国では宝物を表す「金」(きん)「玉」(ぎょく)に分けて命名して います。 中国医学のバイブル的書物で2000年ほど前に著された「黄帝内経」の中の「素 門」にすでに記載されている古くから伝わっているツボです。 ちなみにこの「黄帝内経」(木簡書)の現存する世界最古のものは京都の仁和寺 にあり日本の国宝に指定されています。 このツボは舌の裏側の静脈上にあります。 これは針を刺したり、押したりしても意味のないツボで 針で刺して皮膚を切って静脈血を出します。 この様に皮膚を切って血液を出して病気を治す方法を ”瀉血”(しゃけつ)法といいます。このツボの 一般的な効用は熱を下げ、腫れを抑えます。 頭に血が上って興奮した状態を落ち着かせる効果もあります。 病名としては 糖尿病、舌の腫瘍、脳梗塞、、失語症 黄疸、嘔吐や下痢の胃腸症状、 もちろんノドや口内の病気にも効果があります。 しかし血小板が少ないなど、出血性素因の有る方にはこのツボは使えませんね。 瀉血法についてはQ&Aのコーナー内 「ついてはいけないツボ」のページでも考察を試みています。
②聚泉(しゅううせん) 舌上の真中のたてに筋が入った、その筋の中にあるツボです。 ここには舌動脈、舌神経があり 針を刺すとしてもほんの数ミリ程度で基本的にはお灸のツボです。 お灸の場合はスライスしたショウガを乗せて、その上からお灸をします。 効果は上の①のツボとだいたいよく似ていますが、このツボはむしろセキ止めや 喘息治療に使われています。 金津、玉液と違って比較的新しく命名されたツボです。 1601年に中国で発刊された「鍼灸大成」という医書で始めて命名紹介されま した。
③頬裏(きょうり) 口びるの両端の角から口内に約3センチほど入った唇の端と同じ高さの所です。 口内の頬粘膜の上です。 このツボは唐の時代670年ごろに著された「千金方」という医書で始めて場所 が確定されたツボです。 針の場合は口の奥のほうに向けて斜めに粘膜に添うように刺します。 又は小さく刺して血液を絞り出します。 効果ですがやはり黄疸や口内炎、歯肉炎、舌先のデキモノに効きます。 顔面に直接接していて頬神経の枝、眼窩下神経、顔面神経の枝が分布している場所で すから 顔面神経麻痺にも高い効果があります。 |
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