★突いてはいけないツボは? & 瀉血療法について★

名前 = T,T
性別 = 男性
age = under20
メッセージ = 突いてはいけないツボも有るのですか?





T・T さんへ

「突いてはいけないツボ」って云うのは「押してはいけない」と同じ意味でしょうか?

そう云うツボは、 まず無いはずですよ。

強いて上げるなら「目の玉」でしょうか。

しかし目の玉はむしろ「お灸」をしてはいけないと言われているだけで 正確には「押してはいけない」とは必ずしも云われていませんが。

凄く技術的には難しいですが(私は行った経験ありませんが)眼の難病を治す為に 目の中に針を刺す治療は中国などで行われています。


一例を挙げれば目の網膜に直接に針を刺す治療法があります。
糖尿病などで網膜に炎症を起こし失明の危機にある人の治療ですが、成功すると失明を免れる大きな効果があるのですが 技術的にも難しく(治療中に患者さんが目の玉を動かすと一瞬で失血失明するらしいです)
余りにもリスクが大き過ぎて日本では行われていません。


「出血」で思い出したので付け加えますが、
「突いても意味の無いツボ」というのは結構沢山有りますよ。

つまりこの場合の「ツボ」は「押しても突いても」効果が無くて ツボである皮膚を刃物のような針で突き刺したり切っったりして 「血液」を出さないといけないツボなのです。

舌の裏側に有る「金津」「玉液」のツボは 下の裏側に浮き上がっている静脈を切って ドドッと流れる血を抜き取ります。血を抜くためだけのツボですね。
糖尿病や脳梗塞、失語症、舌の腫瘍などに使う方法です。 この様にツボから「血を出す治療法」を 「瀉血」=しゃけつ=と言いますが、これは非常に効果が高く 日常的によく行われています。


紫色 に見える静脈上にある二つのツボ。この様にお箸などで舌を摘んで固定した形で図の赤い点部分を切ってここから血を抜きます。

糖尿病や脳梗塞、失語症、舌の腫瘍などの治療に行うツボ瀉血法




実は全ての指先の先端はこのような「瀉血」のツボです。
インフルエンザや伝染病で高熱を出した場合や ショック状態、意識不明などから 救い出すための「救急のツボ」でもあります。 この方法は実は誰もが万が一の時の為に知っておくと良い「ツボ療法」だと思います。
スポーツ中の急性心不全(心臓マヒ)、ガス中毒、一酸化炭素中毒などで 意識不明の場合も救急車が到着するまでに 両手足の20本の指の先端を安全ピンか何かで突き刺し血を出しますと予後が全く違ってきます。

精神分裂病で暴れ回る人にも「額」=印堂(いんどう)や「鼻の下」=人中(じんちゅう)のツボに釘のような太い鍼(棒?)を突き刺して、そのツボから沢山の出血をさせると暴れ狂った状態から電源を切った機械の様にスーッと静かに変わるそうですよ。
(実際にそのような治療を行っている中国の鍼灸医さんに教えていただきました)

人間の身体は(血液を持った生命は全てそうでしょうが) 「出血」に対しては特別なリアクションを起こします。
「出血」は生命にとって限りなく「死」をイメージさせる緊急事態として 脳にインプットされているはずです。
その為に「出血」が起きたことを「脳」が知ると瞬時に 「生命」の危機を救う緊急用の特別な指令を全身の細胞に向けて送り込み 新たな生命維持のための防御環境を構築するのでしょう。この生命の本能的な「死」に対する防御力を利用したのが瀉血法なのです。

時代劇などで大名屋敷に忍び込んだ「賊」が発見されると「出合え! 出合え!」と叫んでは屋敷中の侍が賊の居る場所に集結して賊と一戦を交えるでしょう?
或いは
全面戦争に発展させる目的の為に爆弾テロで局地戦を仕掛ける感じとでも言いますか。(満鉄爆破風?)

つまり「瀉血」ってのは「病気」に対して治癒力が全面(全身)戦争を仕掛けるように企む為の「大名屋敷の賊」であったり「爆弾テロ」な訳ですから、ラディカルなだけに非常に効果が高いんです

この様な訳で血液を出すと人体は危機的状況を一変させる新たな力を発揮し始めます
から強力な(自然)治癒力を必要とする様様な難病の治療にも この瀉血法は多く用いられてます。

「皮膚を切って血を出さないといけない(意味の無い)ツボ」も貴方の ご質問の意図とはずいぶん違うと思いますが

「突いてはいけないツボ」と言えるかもしれませんね。


◆ご参考までに
変わった瀉血法の一種として「注射器」で血液を腕の静脈から2CCほど抜いて、その抜いたばかりの血液を自分の両足の静脈に1CCずつ注入する、抜いた血液を別の場所に押しこむ治療法もあります。
主にリュウマチや免疫疾患に効果的な治療法です。
これは中国では日常的に行われている方法で、その為に注射器がごく普通に薬局で売られています。
わざわざ皮膚を傷つけて
「血液」を出すなんて何とも奇妙で野蛮な治療法で「迷信」だと思われるかもしれませんね。
しかし、だからこそ効果が確かな方法なのです。
そんな誰もが嫌がる方法であるからこそ何千年も昔から多くの医師に検証されては淘汰されるのとは反対に各時代の医学書に新たな治療例がしっかりと書き加えられながら継承されて現代に至っているのですから。
この生体反応をラディカルに操る瀉血療法は複雑な難病治療のアイデアとしてもっともっと研究を推し進めるべき治療法だと思います。

最も進化した生物(人体)のミステリーこそ、謎解きの興味が尽きない最高のエンターテイメントですね。
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