名前 = SACHI 性別 = 女性 age = 30to39 メッセージ = 私は肩こりに悩んでおります。よく肩こりは血行不良が原因といいますが、肩のどのあたり(表面なのか奥のほうなのか)の血管のことをいっているのですか? |
SACHI様へ こんばんは!ツボ探検隊の松岡です。
ずいぶん以前にご質問を頂きながらこのところ中国からの来客続きで多忙を極め、回答に時間が掛かりそうなご質問は後回しにしてしまい返信が遅れて申し訳有りません。 早速ですが、「肩こり」は肩のどの部分の血行が不良なのか?・・・おもしろいご質問ですね。
「肩こり」に限らず、心臓病でも肝臓病でも或いは単に手足が痛むといった場合も、病気の有る問題箇所の「血行」は何処も「良好」で有るはずは無く、そもそも「血行不良」と無関係な病気を探す方が難しいくらいでしょう。
ということは、原因のトップに「血行不良」が持ち上げられている病気や症状が有るとすれば、つまりは原因の詳細は「不明」と言っているのと同じ事になります。
しかし「肩こり」は肩の筋肉に起こるトラブルですから、トラブルを起こしている肩の筋肉自体に問題があるのではないか・・と考えるのが先ずは妥当なのではありませんか?
つまり「肩こり」は「血行不良」以前に先ずその人の「筋肉の質」に当然ながら影響されると思われます。「強い筋肉」はストレスにも当然強いからです。
「G7」先進7カ国にロシアと中国を加えた世界の主要な国々の国民にもしも「貴方は肩がこりますか?」と尋ねたならば、「肩こり」を自覚する人の比率は日本が他国を圧倒して群を抜いてトップでしょう。どの国も日本語のように「肩こり」と言う「言葉=名詞」を持たないのが普通のようです。その意味では「肩こりの研究」はその国語に「肩こり」という語彙を持つほどに肩こり患者さんの多い日本の医学者の「仕事」ですね。
実は私の治療院にも欧米人(白人)の患者さんが何人か通院されていますが、余りにも日本人の筋肉と違うために治療のカンが狂い易く、別の動物(失礼!)なんだと自分自身に言い聞かせないと診断や治療の進め方を誤りそうになります。「そりゃあ、こんなしっかりした筋肉なら肩こりは起こさないよなぁ~」・・とよく内心でそう思います。
彼らに比べると一般に日本人の筋肉は密度も粗い上に柔軟性弾力性に乏しく、ちょっとしたストレスにも回復力が(戻り)が弱くて硬化を起こしやすい性質を持っている感じが強くします。
こんな元々ひ弱な日本人の筋肉が運動不足でますます弱く成り、肩こりや腰痛を全世代に普及(!)させているのが現状でしょう。 「肩こり」の原因の一つに「なで肩」を云う人もいますが、私はあまり関係ないと思います。 当院でも「肩こり」を訴えて来院される「いかり肩の人」はいくらも居ますからね。また一方で「姿勢が悪いから肩がこる」という説も「ニワトリが先か卵が先か・・」と同じで姿勢が良い方が力学的にも「肩こり」を起こし難い事は間違い有りませんが、「常に良い姿勢を保つ」為には日頃からそれ相当の背筋、腹筋などの鍛錬が必要です。
つまり「良い姿勢を保つにはかなりの筋力が要る」のですが、普通はそれだけのしっかりした筋肉を持っている人は普段からほとんど肩は凝らないものです。つまり肩の筋肉が容易に柔軟性を失くす(肩が凝る)ほどの弱い筋力でしかないから背骨を真っ直ぐに支える筋力も弱い、イコール姿勢も悪いと言えます。 「姿勢が悪いから肩がこる」というよりも「肩がこるような身体だから姿勢も悪い」のではないでしょうか? 「肩こり」とは肩の筋肉が柔軟性を失って硬くなってくる訳ですから、「血行不良」「骨格」「姿勢」など周辺事情を問題視する前に「肩の筋肉」そのものに大きな原因が有ると、まずは素直に考えるべきだと思いますよ。
また一方で別の角度から考えてみますと、「精神的緊張」を表す言葉に「からだを堅くする」「ガチガチに上がる」とか「コチコチになる」という表現があります。逆に「緊張を解く」言葉としては「肩の力を抜く」とも云います。確かに私たちは緊張すると無意識に身体(筋肉)を堅くしているものです。 あまりに緊張し過ぎると歩き方だってロボットみたいに関節まで硬くなってぎくしゃくとおかしく成ってしまいます。
と言うことは「精神的ストレス」を度々受けている環境では、緊張でたびたび全身の筋肉を堅くしている事に成り、いわゆる「ストレス解消」が上手く行かない場合は筋肉の緊張が「常態」となって慢性的な「肩こり」を呈することになってしまいます。(もちろんこの場合は肩以外の筋肉も凝っているのですが・・)前記の如く我々日本人の筋肉はもともと決して強くないのですから。
確かに「血行不良」によって「肩がこる」というのは間違っているとは言えませんが、逆に「肩がこる」から「血行不良」を引き起こしているとも言えるのです。何故ならば例えば受験や面接試験、お見合い(?)など一時的な「精神的緊張」で全身の筋肉がガチガチに堅くに成るのは「血行不良」が直接的な原因でないことは明らかだからです。
つまり「精神の緊張=頭(心)のこり」が「肩こり」の原因に成ることも多いのです。私が開業した30数年前と比べても、手仕事、力仕事による「労働性肩こり」の患者さんはものすごい勢いで減少してしまい、精神的ストレスによる「ストレス性肩こり」の方が激増しています。もっと分かりやすく云うと「気苦労」「心労」による「肩こり」です。この場合は脳の働きの関係でしょうか「利き腕」とは反対の「左肩」の方の「こり」が強いのが特徴です。
そう言えば、気易い人、おおらかで付き合い易い人を「肩のこらない人」と表現したり、愉快な映画を「肩のこらない映画」などと言ったりしますね。これらの表現は全て相対したときに「精神的緊張を強いない」人や物事に対して使われます。「精神的緊張」と「筋肉の緊張」=「肩こり」が密接な関係に有ることをこれらの比喩がいみじくも証明していますね。
「全身の筋肉はゆるめて精神だけを緊張させる」・・・なんて芸当はちょと出来ませんからね。何ならば反対の「力を入れて身体を硬くして気持ちだけリラックス」でも良いですよ。 ちょっと実験してみて下さい。直ぐに分かりますよ。どちらも出来ないことが。 心と身体は本当に密接に繋がっているんです。「頑固な肩こり」の方は「頑固な心のこり」が無いかも一度チェックしてみましょう! 上記の遺伝的筋力差(体質の差)や精神的要素以外で確証性の高い「肩こり」の原因の一つとして考えられるのは「直立歩行」ではないでしょうか。我々の身体は未だ進化の途上の様で四つ足動物と大差ない骨格です。(犬の骨格をクリックして見て下さい。) まっすぐに立つことは四つん這いで歩くのとは違って引力(重力)のすべてが両足を軸に細長く縦の垂直ラインにかかりますから体のバランス=「重心」を取ることが難しく、筋力が弱っていると身体の歪みをコントロールしている脳を始め、全身的なストレスとなるはずです。(細長い棒を立てて安定させるのは難しいが、横に置けば簡単に安定します。)
ですから病気の人、体の弱っている人では、目をつむってしまうとグラグラと揺れてばかりで真っ直ぐには立てないし歩けないものです。
疲れやすい人はすぐ横に成りたがる人でもあります。疲れている時ほど横たわると如何に身体が楽になるかが分かります。「寝たきり」病人や老人はいても「立ちっ放し」の病人や老人は居ませんよね。立って歩いて生活することは身体に相当なストレス=負荷を掛けているのです。 「直立歩行」で負荷を掛けることにより手足の筋肉が鍛えられるも事実でしょうが、弱い筋肉は骨を正しく保ち支える機能も弱くて「歪み」を起こしやすいのです。「直立歩行」はこれらの「歪み」の自然な回復(矯正)を阻んでいると思われるのです。
四つ足動物からの進化で得た「直立歩行」によるストレスで起こしやすい症状のもう一方の勇者(!)に「腰痛」が有りますが、これもやはり筋肉の質(筋力)に大きく影響されるのですが、「肩こり」に比べるとその原因の「精神的ストレス」の比重はかなり低いですね。肩の筋肉は「脳」に最も近い大きい筋肉(僧坊筋)なので、その影響を最も受けやすい筋肉なのでしょうか?
ちなみに、こういうタイプの肩こりの患者さんには「精神的疲労」を取るツボを使って「肩こり」の治療をしています。 もちろん「精神的ストレス」に限らず、内臓の病気などの「身体(組織)的ストレス」によっても肩は凝ります。この場合は「貧血」を伴うこともあり全身的な「血行不良」を引き起こし易く、ご質問の「血行不良」による「肩こり」に最も近いケースだと思います。「余病」としての「肩こり」ですね。何処の血行が不良と言うよりも全身の血行に勢いがないタイプです。
分析ばかりしても「肩こりで困っている方」には御利益(ごりやく)はありませんからこの辺で対処法を考えましょう。
対処法はごく当たり前のことですが、身体にかかっている様々なストレスを取る事になります。
まず一番取り組みやすい方法として、人間の身体を立体として考えた時にストレスとなる「直立歩行」から一日数分でも脱却しましょう。
両手を肩幅よりほんの少し広げて床に着けて、四つん這いになります。最初は膝を床に着けて歩き、慣れれば膝を伸ばしても良いでしょう。そのままうつむけ加減で「赤ちゃん」に成った気分でゆっくり歩きます。心臓の位置を考慮して左回りに大きく部屋の隅々を通る感じで回ります。午前と午後の2回ほど1回を5分程度四つん這い歩きをします。
これはちょっとした運動になりますから、身体が暖まって来るのを感じるはずです。肩こりばかりでなく同時に腰にかかるストレスも軽減されますから軽い腰痛なら治ってしまいます。
行う前は準備運動として手足の関節を柔らかくしておきます。ハイハイは上半身を支える為に腕に負担のかかる運動だからです。
両手で顔を洗うときのように、手のひらを顔に向けて手首を内側にくるくると素早く回転します。これをハイハイ前後に百回くらい行います。百回回しても時間はだいたい2~3分です。足が重いようならば同じ要領で足首回しを加えても良いです。 手首足首は心臓から遠く、関節として骨格的にも仕組みが複雑なので血液が心臓から送られてきてこの部分を通過して再び心臓に送り返す作業はエネルギーの弱っている人には大仕事になります。
手や足の関節を柔らかくすることは、末端の血の巡りを良くする意味で心臓の手助けにも成ります。
同時に筋力、心肺能力を高める為に余り身体に無理のないスポーツを日常的に行う事も大事です。ジョギング、ヨガ、太極拳、ソフトエアロビクスなどです。運動不足はやはり「肩こり」の大敵です。
「現代的な肩こり」の大きな要因でもある精神的ストレスの解消法は色々ありますね。それこそあらゆる宗教から始まってスポーツを始め芸術に親しむとかさまざまな趣味とか、「我を忘れて没頭出来るモノ」全てです。悩み事の有る方には私どものホームページ内の「TFT療法」もたいへん有効ですよ。昨年9月のニューヨークのワールドトレードセンターが崩壊した多発テロの後で当地ニユーヨークで秘書として働いておられる日本人女性からメールを頂きました。 事件以来ショックで家に閉じこもって「うつ状態」で有ったのが私どものページの「TFT療法」を実行しすっかり良く成られたとの感謝のメールでした。まさしくインターネットのwww(ワールド・ワイド・ワェブ)を実感させて頂きました。 このTFT療法のページは「引きこもっている人達へ」が入り口になっています。精神的ストレスを実感されている場合はご訪問下さい。
http://www.shinkyu.com/hiki/tft.htm 肝腎のツボ療法ですが、当然ながら原因によって選ぶツボが違ってきます。たとえば「肩こり」だからと言ってあんまやマッサージで「肩」ばかり力任せに揉んでも一時的な効果しか望めないばかりか、逆に回を重ねる毎に筋肉の質を悪くする可能性もあります。 つまり「肩こり」もピンからキリまで有るのです。原因に即したツボ刺激が大事だと言う意味で「頑固な肩こり」の本格的治療は経験豊富な専門家に委ねるのが得策のようにも存じます。
|
ツボ探検隊の表紙に戻る |