★ 「悪夢」のツボ ★
>名前 =AKU
>性別 = 女性
>age =30to39
>メッセージ =
>お正月を過ぎてから毎晩のように恐ろしい夢を見ます。
>目が覚めてから夢と分ってもしばらくドキドキするんで、>このごろは夜眠るのが不安なんです。
>恐い夢を見ないで気持良く熟睡したいので、ツボとか押して何とかならないでしょうか? 
>よろしくお願いします。


(お尋ねが多いので再度、表紙欄に掲載します)

AKU
様へ
普通ならば1日が終わって寝床に着くのはホッとする瞬間なのに、眠るのが恐いって事になると本当に辛いですね。
ご質問には全然お書きに成っていないので、特に悩み事や困った事が最近起こった訳では無いのに悪い夢を見る、という事で考えてみたいと思います。
実は以前にも悪夢に悩んでおられる方からのご質問を頂きまして、ほぼ同じアドバイスしましたが「あれから1週間経ちますが恐い夢を見ませんでした」とお礼のメールを頂きました。
その方も特に心配事とか恐い夢を見る様な原因は無いと仰っておられました。
では恐い夢を見る原因ですが、取り敢えず睡眠時に何らかのストレスが身体に掛かって心肺機能が健やかでなく、脳の安定(安眠)が妨げられていると思われます。
中国医学的に言うと全身の「気」の流れが、横隔膜より上の部分で一部速やかではない云う事に成ります。
これは単に胸の周囲が凝って心肺機能に影響を与えている場合も有れば、現実に心肺、胃腸等の内臓機能に問題が有る事も考えられます。
別の角度からも考えてみましょう。

まず逆に怖い事があったとします。
例えば夜自宅の寝室で眠っている時に、不審な物音で目を覚ましたとしましょう。
そしてその不審な物音が徐々に貴方の寝室に近づいて来るのです。
貴方は眠るどころか息をすることさえ忘れて、その音に聞き耳を立てているはずです。
既に怖くて自然な息が出来ず胸がドキドキし始めているはずです。
そしてその胸の鼓動は少しずつ大きく成り、はっきりと全身で自覚出来る様に成って来きます。
実を云うと、この様な現象は逆も同じように起こり得ると考えるべきではないかと思います。
つまり怖い時に起こる「息詰って心臓がドキドキする」状態と同じ様な身体状況を作り出せば、逆に不安な「怖い」気持ちが育ってくるはずなのです。
「恐い夢を見る」のは怖い時に起きる身体上の変化と似通った変化が、睡眠時の身体に起こっていて、睡眠時特有の安らかな「深い呼吸」が妨げられているからではないでしょうか。

現代医学では精神状態は「脳」の問題ですが、中国医学では「心臓」の問題と考えます。
日本人も気(精神)が強い人を「心臓に毛が生えている」とか「強心臓」と言いますね。
逆に気の弱い人を「心臓が弱い」と言いますし、恐いモノを見る時は「心臓に悪い」と表現する事も有ります。

中国医学など知らなくても我々は「心臓」と「こころ」=「精神」とには非常に密接な関係が有る、という暗黙の前提を持っています。
現に緊張したり恐い思いをすると前述致しました様に「心臓のドキドキ」が起こることは誰もが体験して知っているからです。
と言う事で逆に「心臓」を巡る環境に何らかの良くない変化が起こって「不安心理」「恐怖心」が芽生えてくる事が考えられるのです。この変化が睡眠時に起こっていると「恐い夢」が立ち上がって来ると思われます。

前置きはこの位にして
では具体的な怖い夢を見ない方法に入ります。
この様な状態の時は脇や胸の周りの筋肉が凝って心臓への血行を損ない、同時に背中も凝っているので大きな呼吸が出来ず呼吸が浅くなっていますから、まず胸郭周囲の筋肉を緩める運動をします。(一番下に運動方法を書いています)その次ぎに「ツボ刺激」を行ってください。これはやはり寝る前に行うのが効果的ですね。

「悪夢」のツボ
精神不安、心臓神経症、胸騒ぎがして眠り難いタイプの不眠症にも効果があります。
中国医学では「精神状態」は「心臓」に最も関係深いと考えていますので「恐がり」は元より異常な「精神状態」を治すツボは「心臓病を治すツボ」とほぼ共通しています。その為に不安や恐怖心が起こりやすい状態にある時は「心(臓)経」「心包経」、あとは脇にあり、胸部の血流に大きな影響を持つ、最も大きな内臓「肝臓」のツボを主に使います。日頃から心包経の「内関」(腹部臓器と胸部臓器のエネルギーバランスを調整するツボ)「間使」、或いはもっと上の辺りを揉んで下さい。 それと脇のツボもゆっくり刺激して下さい。腕を真っ直ぐ下げて脇の筋目の少し上を押して硬く凝って痛いところを探します。(画像を参考に良く見てください)千年灸でも良いですしブラシで擦っても指圧でも結構です。必ず圧痛が有るはずですから確認して下さい。

画像を添付しますので、その辺りを押してチェックして下さい。
小児針のページも参照して頂いてブラシで手足と腕のブラッシングを行っても良いし「手もみで健康」ページに紹介している腕の中央部分「心包経」ラインをよく揉んで頂いても同じ効果があります。そのライン上で特に痛い所があればじっくり押して下さい。

同じツボも刺激波の方向を変える事により全く違う症状に効果を持ちます。逆に言うと力の方向(ベクトル)を間違うと思い通りの効果が望めませんので効かせたい症状と力の方向を間違わないようご注意下さい。

●安眠(あんみん)
耳たぶの後下の柔らかい凹みの少し前方。押すと痛いところ。頭の中央に向けて押す又は鍼を刺す。

※耳鳴り、難聴治療には力のベクトルを上方に向ける
※咽喉痛には咽喉部に向ける
※不眠、精神安定には後方へ向ける
※顔面神経麻痺には顔面に向ける

●風池(ふうち)後ろ髪の生え際の下で、首の大きな筋(僧帽筋)の両外側。悪夢や精神症状に効かす時は頭の左風池から右風池に向けて押す又は刺す。
●急性精神症状(パニック障害)のツボ(特にツボ名は定められていない場所です)
腕を脇にぴたっと付けた時に脇に出来る縦スジの上の凹み。押すと痛いところです。このツボは特に左側が大切です。急ぐ時は左のみでも良い。指圧:ツボの奥に向けて押し込みます。 人差し指中指薬指の3本の指を揃えてこのツボに当てがい、症状の有る方にこの3本の指を支えにして前方に倒れる形で押しても良い。症状が収まるまで数分間行う。 鍼:そのまま直刺で少なくとも2㎝は刺して「得気」を確認する事。留鍼も可。 「悪夢」の時は深呼吸を行いながら1分間ほど押します。
●神門(しんもん)
小指側手首の横筋の上(豆状骨の上方)の凹みの内側。腕の内部中央に向けて押す。又は鍼を刺す
●内関(ないかん)
内側手首の横紋から上に向かって指幅2本分上がった所。腕の反対部〔外関ツボ)に向けて深く押す。又は腕の内と外と両側から摘む様に押しても良い。
●間使(かんし)
手首横筋の上方約3寸、筋肉(撓骨側手根屈筋)と腱(長掌筋腱)の間。少しだけ腕の上部〔肘)に向けて押す。
太衝(たいしょう)
足親指と人差し指の間をた
どり、二つの骨が出会う所
必ずツボの痛みを確認する事。痛む所がこの場所よりも少し前(足指側)である事も多い。その時は痛む所を先に押す。

◆安眠運動
①胸を張って、ラジオ体操の最後にやる深呼吸をします。
手を上に上げながら息を吸い、手を下ろしながら両手を思いっきり広げて息を吐きます。これを10回ぐらい行います。
②その次に背泳の腕の動きを行います。
息を吸いながら腕を手前から上げて丁度耳の横すれすれまで持ってきます。耳の横まで腕が上がったら今度はそのまま後ろに腕を回して下げながら徐々に息を吐きます。この運動は脇、背中やその周辺部分の筋肉を伸ばします。脇が凝って縮んだ状態に成ると心臓を巡る血液の流れが悪く成りやすいのです。これも10回程度行って下さい。

③そして手首を顔に向けてくるくる顔を洗うような形で内側に回します。手を大きく回すのではなく手首だけを手前に回します。次に足首を内側、外側それぞれ10回程度回します。最後に腕をグルグル前から後ろに向けてプロペラみたいに回します。力任せにしないでゆっくり行ってください。背泳ぎの腕の動きを速めた感じです。これらは全て複雑に入り組んだ手首や肩関節の血行を良くする為の運動です。

※骨盤は新たな歪みを生みやすいので太股の関節は安易に回さないで下さい。まず上記の三つの運動を寝る前に行って下さい。これらはすべて胸の周りの筋肉を緩めて心臓を巡る血行を改善する為の運動です。

最後に眠る時には、胸を大きく広げることが大事なので、両脇、両足を少し広げる、いわゆる「大の字」に近い形に成って大きな(腹式)呼吸を意識しながら、ゆっくり丁寧に息を吐きながら(吐く息を重点的に行う)、眠りに着いて下さい。
手を胸の上に乗せたり、胸の上で手を組んで眠るのは、この様な身体状況時には特に悪いので気を付けて下さい。



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