★感染症(SARS)のツボ療法;予防と治療について★
>名前 = S.N
性別 = 男性
age = 40to49
メッセージ =
 貴HPをいつも参考にさせていただいております。 SARSが世界的な規模の流行になりつつあり、日本に上陸するのも時間の問題かとも思われます。
 発症後の死亡率も低くなく、病原体の正体以外の感染経路や治療法については未だ不明で、大変不安です。 しかし、被害のひどい中国でも、全ての人が感染しているわけではなく、中には病原体に曝されながらも発病しない者もいるのではと考えられ、希望的観測ではありますが、感染症に対する抵抗力が強ければSARSに罹患する確率も低くなるのではと思っています。
 「感染症に対する抵抗力を強くするツボ」をお教え頂ければ幸いです。



まさしく今最もホットな「SARS」ですが、実は以前より、もっぱら仲間内でもしも抗生物質の効かない感染症が大流行すれば、その時こそ「鍼灸」が治療現場の最前線へ躍り出るチャンスだとよく話したりしておりました。
余り大きな声では言えませんが、内心では「腕が鳴る」的不遜さで「その時」を待ち望む気持ち「大いに有り」だった様に思います。そんな折りにこのSARS騒ぎです。それで一気に私どもの想定条件に大変な欠落があることに気づいてしまいました。つまり鍼灸治療こそ、感染症患者の皮膚に直接触れねば治療が出来ず、密接に接触する意味で治療者自身が感染する可能性が非常に大きい、つまり治療者側のリスクも一番大きい治療法であるという現実です。

これでは治療後に自分自身が感染した場合に果たして二の舞を恐れず「鍼灸」で治してくれる者がいるかどうか誠に心許ない事に成るわけです。以上の悲しい状況から鑑みて、先ず「免疫力を高めるツボ」と共にもしも運悪く感染してしまった場合の他人に頼らず「自分で出来る感染症治療のツボ」について私自身が感染したと想定して記していきたいと思います。

しかし先ず事前にしっかり再確認して頂きたいのは鍼灸とは現れている症状と全身との相関性を突き止めて体表(ツボ)から治療計画を立てる医学で、つまり最初から薬を使わない治療法ですから、薬が効かない病気であろうが無かろうが元々そんなことは治療を進める上で何の関係もないのです。そもそも薬の化学変化により病気を治そうとする医学とは全く違うメカニズムで病気を動かすことで存在価値が有った訳ですからね。つまりは「SARS」だからといって特別に変わった鍼灸テクニックを用いることは有りません。免疫力を高めるのも風邪を引かない身体にする一般的な「風邪予防のツボ」で良いはずです。

先ず最初に「風邪のツボ」のページでご紹介していますツボブラシマッサージは行い易いという現実的な意味で「予防として」は一番のお奨めです。ツボブラシマッサージのページへ 老若男女、様々な症状の方々から効果があったとお礼のメールを頂いています。意外なほど効くのです。もともと「呼吸器系の弱い人」「お灸好き」の方はともかくとして一般の方々にはツボマッサージを先ずお奨めします。もちろん適当にミックスさせても良いですよ。お腹の弱い人ならばお腹のツボだけお灸を行い、後は全身マッサージと言う風に。


また普段から特別風邪を引きやすい人、病気がちの方には面倒ですが従来からのオーソドックスなツボ療法が確実な効果を生むはずですから、こちらもご紹介いたします。
理想では背部の①肺ゆ、風門或いは②身柱、③腎ゆ、腹部の④中かん、⑤気海或いは関元、手では⑥内関、⑦曲池 ⑧足の三里、⑨三陰交の9カ所となるでしょう。背中のコリが昇りやすい後頭部の「風池」「天柱」も折に触れ揉みほぐしておくと良いでしょう。神経が疲れやすい人は「肝ゆ」も加えて下さい。しかし9カ所もあっては多すぎるかも知れません。そこで厳選してみますと先ず背中は「肺ゆ」「身柱」「腎ゆ」を日替わりで、お腹は「中かん」と「関元」、手は「曲池」又は「内関」、足は「三里」と「三陰交」、背中は1日一カ所、後はお腹が二カ所と、手と足で三カ所の合計ツボ数は6カ所です。手足の場合は両方ですから実際に行うのはツボ数の倍になります。問題はこれらのツボにどういった刺激を行うかですが、理想はやはり「お灸」です。爪楊枝5本程を輪ゴムで堅く結んだものをツボの部位に連打する方法も良いと思います。別のページお奨めしているアルミホイルを小さく丸めてセロテープで貼るのももちろん良いですよ。呼吸器感染症予防のツボ
中かん 気海 関元 風門 肺兪 肝兪 腎兪 曲池
内関 足の三里 三陰交

※刺激は上半身から腹部→手→背部→足と順に行って下さい。
中かん(ちゅうかん) みぞおちとへそのおよそ中間点。凹みを確認する
気海(きかい) へその下1寸5分約3センチ強の所(凹みを確認すること)
関元(かんげん) へそ下を親指以外の4本指の幅だけ(3寸)下がった所
風門(ふうもん) 第2胸椎きょく突起の下で左右1寸5分(約3センチ)の凹み
肺兪(はいゆ) 第3胸椎きょく突起の下で左右1寸5分(約3センチ)の凹み。肺の機能を活性化するツボ。喩と言うのは運輸の喩でもあり、病で滞った「気」の流れをあるべき方向に運ぶツボ。
身柱(しんちゅう) 第3胸椎きょく突起の下。両肺兪の真ん中。ここのお灸は「ちりけの灸」として乳幼児の万病のツボ(画像上には書いてありません)
肝兪(かんゆ) 第9胸椎棘突起下の両側1寸5分:約3センチの所
腎兪(じんゆ) 第2腰椎(腰のくびれた所)棘突起下の両側1寸5分約3センチの所
曲池(きょくち) 肘を曲げて出来る横筋の外側の先端の陥凹部
内関:(ないかん) 内側手首の横紋から上に向かって1寸5分指幅2本分上がった所 「内」とは内臓の意。内臓全般に「関」係するツボと言う意味
足の三里(あしのさんり) むこうずねの骨の外側を膝から3寸(約5~6センチ)下がった所
三陰交(さんいんこう 内くるぶしの上3寸(約5~6センチ)の所 腓骨内側面の後縁。押してみて凹むところ。
身体を図る寸法の目安です。実際には凹みで確認して下さい。

それともう一つ有効な方法が有ります。それは手だけで全身の病気を治す高麗式ツボ療法です。この療法の素晴らしいことは予防と同じく自分自身の治療も手のひらだけで可能なことです。30年ほど前に韓国人鍼灸師:柳泰裕氏により発見された新しいツボ療法ですが、しかし昔から有る「耳のツボ」や「足の裏のツボ」とは比較にならないほどの効果を発揮します。正直に告白しますとこの療法の存在自体は私は10年以上も前から知っておりましたが、サブカルチャー的とでも言いますか一時的なブームでしかない、日々の治療の即戦力とは成り得ないものと実践もせずに思い込んでいました。いわば治療の「スタメン」ではなく、手詰まりに成ったときの「代打要員」レベル或いはそれ以下ではないかと考えていたのです。本当に不徳の致す限りでありました。しかしひょんな事から試す機会が有り、私自身や周辺の者で試してみますと、これが驚くほどの効果です。それで数多くのデータを集める為に人が集まる様々な場所に出掛け多くの方々に無料治療を行ってみましたが、何処でも予想を遙かに上回る効果を見せたのです。「耳」や「足」のツボ効果は従来の身体のツボの延長線上に有るものですが、とにかくこの高麗式治療を行って一番の驚きは従来から有る身体のツボとは治療後の患者さん達のリアクションを見ていても効果のメカニズムが相当に違う様に感じる事です。

地元の韓国でもその効果の詳細は解明はされていないようですが「手」は「耳」や「足」とは違って、よりダイレクトに「脳」と的確な情報を交換し合っているはずですから、それだけ鋭く脳に変化を起こす事が可能なのだと思われます。
つまり「手」は「脳」にとって最高の「情報端末」として機能していると考えるべきなのでしょう。この脳と手の相関関係の科学的研究は中国式の全身のツボよりもエリアも限られていて容易なはずですから、全身を司る手のツボからのアプローチにより「脳と手の関係」それと「脳とツボ(体表)の関係」の同時解明に至る事も可能ではないでしょうか。
ひょっとすると将来は何千年もの歴史を持つ中国式の全身を使うツボ療法を駆逐して行く可能性も無きにしも非ずと思うほどで今後はこの高麗式ツボ療法の科学的解明が鍼灸医学に於ける大きな課題となると思われます。韓国では中国が発見したツボ療法よりもずっと効果の高いツボ療法を韓国人が発見したとつとに喧伝しています。
この高麗式の予防方法は手の平の中心線、中指自体と中指の延長線上のラインを手首まで十分に揉みほぐしたり、間接灸(せんねん灸の様な温灸)、或いは爪楊枝を10本程度まとめて輪ゴムでくくったものを作りこれで叩打します。これだけで肺、心臓、胃腸の機能を整える効果があります。

手のひらとリンクしている各内臓 手のひらの”SARS”予防ポイント
点線部を指先から手首に向けて全て強く揉みほぐす

手と身体前面正中(任脈)との関連性     任脈の灸治療(間接灸)

以上の「全身を使う中国式ツボ」と「手の高麗式ツボ」の二つが私の提案する「ツボによるSARS予防法」ということになります。

次のページにもしも感染した場合について記します。クリック


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