次はもしも感染したと思われる場合です。
先ず感染すると非常に高い熱が出るようですが、この段階は予後を決める一刻をも争う時で中国式&高麗式どちらも絶対的な効果を出すためには「瀉血」しかないでしょう。ですからここでの問題はあくまでどの部位(ツボ)から血液を絞り出すかです。

「血液を絞り出す」と言いましても僅かな数滴の血液ですから、おどろおどろしい「恐いもの」ではありません。
そもそも「瀉血」とは故意に特定のツボから少量の「出血」をさせる事で、血液の流失という死に至る危機の「発端」を演出して生命が持つ自己修復力(自然治癒力)を一気に全開させようとする方法です。
つまり「火事場の馬鹿力」を得る為に故意に“ボヤ騒ぎ”を起こすようなものですね。
身体の免疫機能が「出血」に因って「すわ、一大事!」とばかりにエンジン全開でパワーアップするのです。 しかし何処から血を出しても同じ効果がある訳ではなく、僅かな「出血」でも「一大事」と身体が勘違いして大騒ぎしてくれる効率的な「出血ポイント」(瀉血のツボ)が有るのです。この方法は「感染症」以外でも原因の如何を問わずあらゆる「意識不明」などの救急時に有効です。つまり「瀉血」は限りなく一方的にマイナス方向(死)へ生命が押し流されようとしているのを「ちょっと待った!」とばかり全身のエネルギー総出で「生命の危機」を食い止める目的で用いるのです。ツボ療法の中でも生命の機微を操る最も野趣(?)に富んだ、しかしクレバーなアイデアと言えますね。

・・でこの瀉血専用のツボというのが疾患別に結構沢山あるのですが、それは又別のページでお話しするとして、ここでは重症肺炎を引き起こすウイルスと戦う為の「瀉血ツボ」に成ります。

A案としては素直に「十宣穴」つまり両手五本の指先です。この様な場合は足の指先の瀉血は一般的ではありません。脳を変化させるには足の指先のツボは手に比べると僅かな時差が発生するからでしょう。 ずいぶん前のことですが足の裏で「押しピン」を踏んでえらく痛い思いをした事があります。もしも手だったら「押しピン」に一瞬触れた段階で寸止め出来たのではないでしょうか。

B案では「孔最」、「列欠」、「少商」あるいは「尺沢」など、その刺激が肺へ直結しているツボ群である「肺経」から瀉血をする法。これによって全身に点在していた「免疫エネルギー」を気管から両肺へ向け結集させ炎症を押さえ込む事を目論みます。もちろん気管背部にある「大椎」の「瀉血」も“有り”です。「大椎」は瀉血用の鍼を刺してその上から「吸い玉」を掛けます。これによって一気に問題部分の環境を変化させる(改善させる)のです。

「瀉血」には「オートランセット」「ラクレット」等の血糖値測定用の採血器具がピッタリで松岡治療院でももっぱらこれを利用させて頂いています。短いサインペンの様な外見ですが、バネ式でパチンと弾くだけでほとんど痛みを感じずに採血できます。一回ごとに使い捨ての短い殺菌済みの針を装填して用います。保険調剤薬局などでお願いすれば一般の方でも手に入るのではないでしょうか。

◆瀉血ポイント
「十宣」:両手の指先尖端中央
「四縫」のでも特に中指の第二手関節部中央
◆肺経の瀉血ポイント
「孔最」「尺沢」「少商」等々




使い捨て針を内部に装填して使います
黄色部分を押すと一瞬だけ1ミリほど針が出て即引っ込みます。(バネ式)

だいたいこういう感じで使います。
画像は爪の横(井穴)から採血していますが発熱時には指先尖端から採血(瀉血)します。肺炎症状が起これば肺経(前腕部)に行います。

内部に装填する使い捨て針
キャップを外すと中に5ミリ程度の針が入っています。

「瀉血」の次に自分で行う治療としては高麗式の手のツボを採ります。これは既に感染した場合を想定していますから、ウイルスによって犯されているはずの気管や肺に当たる部分の圧痛点を探します。逆に圧痛点が存在するポイントに相応する組織に障害(炎症)が起こっていると逆算仮定することも可能です。つまり右肺に相応する部分に激しい圧痛点が見つかれば右肺に炎症があると考えられるのです。既にレントゲン検査などで肺に陰翳が見つかっている場合も急いでその相応部位に圧痛点を探し大きな刺激を与えて状況を好転させます。 私自身が集めたデータのみ成らず、既に韓国では数百万人分(この手指療法の会員数は600万人だそうです)の数多い治療データにより相応部位に強い圧痛点が見つかればほぼ間違いなく症状は好転しているのです。相応部位は画像をご覧下さい。この刺激方法は爪楊枝の柄部分でOKです。ぐうっと押し込んで圧痛点の痛みを増幅させて刺激量を増やして下さい。そうすれば脳を経て相応部位へより大きく刺激情報が伝達されます。炎症が治まれば圧痛は消滅するはずですからこの圧痛が無くなるまで繰り返して下さい。又「ハリボーイ」という2000円程のボールペン型電気治療器も急性症状が治まればその後の治療にとても便利です。

手のひらとリンクしている各内臓  
気管は中指の第二関節から下部分。又中指の付け根両側が両肺に相応しています。この部分にキリで刺されたような強い圧痛が有れば「肺」に何らかの不具合が起こっていると考えられます。もちろん怪我や突き指などの外傷性の痛みは問題外です。
高麗式のツボは直接的に脳をコントロールする事で身体を変化させるツボ療法だと私は思っています。もちろん中国のツボにも同じ働きを持つツボ(手足のツボ)も多く有りますが、高麗式の様にそれに特化したものではありません。
手のひらの”SARS”治療ポイント

発病した場合は「気管」(中指第二関節下)と「肺」(中指付け根両側)相応部に刃物で刺された様な強い圧痛点(直径約1ミリから2ミリ)を探します。見つかったらもっと強い痛みを起こす様にポイントを激しく押して下さい。手と患部(肺)の両方の情報をコントロールしている「脳」に確実に刺激を伝達させる為には相応部の痛みをより強く増幅させる必要があります。


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