★山を動かす治療について★


> 名前 = M.A
> 性別 = 男性
> age =50to59>
> メッセージ =
51才になる妻が、今年4月26日に倒れ、脳梗塞(身体的麻痺はなく、左側・後頭葉が広範囲に損傷<CTでの画像は薄いとのこと>)が判明したのは5月5日で、急性時の治療を終え、現在言語療法士によるリハビリを受けていますが、予後が心配です。
地元の鍼灸院に相談しましたが、治療対象としては困難とのことでした。
針灸は、失語症に対しても有効でしょうか?
なお、診断は「超皮質性感覚失語」を主体とした混合型とのことです。
西洋医学では、壊死した脳細胞の再生はなく、残った脳細胞の活性化と時間をかけて
のリハビリにより、脳神経の新しいネットワークによる脳機能(言語野)の再生に、かかっているとのことですが、鍼灸治療ではどのようなメカニズムで、機能回復させるものなのでしょうか。
なお、担当医の所見では、左側頭葉連合野の複合的な損傷で、おしゃべりはかなり回復していますが(経験と記憶による状況判断によるものと思われます)、読んだり聞いたりしての理解と書くことが極めて困難で、症名は、Q&Aにある言語障害(運動性<発語>構音障害)とは異なり、「超皮質性感覚<理解>失語症」と思われ、機能回復は困難かと聞いております。
併せて、病識を認識していることからくる、精神的不安定と不眠症を心配しております。
どうぞよろしくお願いします。


M .A 様へ

発語障害のみの「失語症」=大脳の機能障害による場合=の治療は比較的簡単ですが、
言語理解力にも大きな障害がある場合は器質障害を伴っているわけですから、
これはやはり大変に治療は困難です。

私の考えでは、鍼灸治療には二つのスタンスがあります。


痛い部分に鍼を打ってその痛みを取ったり、身体のバランスの歪みが生んだ病気をその歪みを発見し、
全身を調整する事でその病気を治す一般的な鍼灸治療法

歪みが特定のエリア、形状に山積し炸裂して、時には器質変化を引き起こして既に大きな病気に至った
重病、難病等々を、さらに有効な別の大きな力を加えて身体に新たな大変化(革命=医学常識を越えた治癒)を起こす事を目標とした治療方法。
この治療は身体を大きく変える事を目的としますから開始すると出来るだけ集中的に日を開けずに行います。

私はこれを「山を動かす治療」と呼んでいますが。
当然大きな力を加えるのですから時にはリスクを伴います。

①が「草の根運動的治療」
②は「体制革命的治療」と表現しても良いかも知れませんね。

奥様の治療は①の方法でもリハビリを促進する効果を十分に望めると思いますが、根本的治療にはこの②の「山を動かす治療」以外には無理ですね。

「山を動かす治療」は治療の針も日本の鍼灸治療用の鍼では普通は出来ません。
布団針くらい太い鍼や物差しのような長い鍼も要ります。
奥様の治療ケースでは
テクニック的にも頭に布団針くらいの太い鍼を刺入角度11度~15度くらいで
最低でも20本は刺しますので、
頭に太い鍼を打つ経験がない鍼灸師が打つと大変痛い治療になってしまいます。
(実際はほとんど痛くありません)
又、脳に一気に大きな血流変化をもたらす為に、この20本程度の数の頭の鍼を1本で1秒以内
トータル20秒程度の短時間で刺さないといけません。
治療も集中的に週に3回以上は必要です。
ということで
生憎とお近くにその様な治療院があるとは考えにくいのです。

但し①の治療はお近くの鍼灸院で可能だと思います。
良い治療院は私が実際に治療を受けてみないと判りませんが、
日本鍼灸師会に20年以上会員となっておられる鍼灸師さんで
繁盛している治療院ならまず安心ではないでしょうか?
鍼灸師会については県の衛生課(又は保健所)でお尋ね下さい。
精神不安や不眠の治療はそのご近所の治療院で出来るかどうかちょっと判りません。
不眠はともかく「精神不安」
を取る鍼は難しいのです。

鍼灸治療の治癒メカニズムの詳細が解れば、
自然治癒力を操る最も合理的な治療法ですから
それこそ世界中の医大で学生に技術の修得が必須と成るはずですが
、まだまだ時を待たねば成りませんね。

ご参考までに現在頭の障害における
「山を動かす」的治療中の患者さんの写真を添付します。
脳の器質変化(過去に脳髄膜炎と交通事故による脳障害)
を伴った精神分裂病の患者さんです。

治療1回目の写真と、約1ヶ月後(治療回数約20回)の写真です。
特徴的な顔面部と背中の写真を貼付します。
全身で40カ所ほどの鍼を打ち、週に5~6回治療しています。
太い鍼は頭部約20カ所のみです。
背中は普通の太さの鍼です。

最初は抗精神病薬の副作用から、軽い痴呆状態にありましたが現在は
意識もはっきりして顔色も良く体重も増えて別人の様に顔貌がすっかり変わりました。

99.6月1日
   1999.7月2日   1999.7月2日 背中の鍼



Q & A に戻る
ツボ探検隊の表紙に戻る