★ ツボが効かなくなった ★

> 名前 = KATUKI
> 性別 = 女性
> age = 30to39
> メッセージ =
>> こんにちは。楽しく拝見させていただいております。
> 昨年9月から下腹部の不快感(もやもやする)と排尿後の痛み+下腹部の不快感で悩んでいます。
> 病院では尿検査で異常が出ていないため、治療できないと言われました。
> 漢方薬局で相談したところ「冷え」とのことで、トウキシャクヤクサンを服薬中ですがあまりぱっとしま せん。
> 12月にマレーシアで血尿がでて、本当の膀胱炎+腎臓結石になったのですが、 膀胱炎治療後、また不快感は再発しています。ちなみに日本の医者は腎臓結石はないと言いました。
> センネンキュウで頻尿に効くツボ何箇所かにお灸をしたところ、 下腹部がぽっと温まり、症状がよくなりました。
> これで治ると思いましたが、数日でそのツボは効果がなくなってしまったのです。
> こちらのHPにあった手のツボも同様で効果がでなくなってしまったのです。カイロもだめです。
> 8月からとても強いストレス下にあり、下腹部の不快感もストレス?とも思うのですが・・・。
> どうしてツボが効かなくなってしまったのでしょうか?
> 何か効果がある方法がございましたら、お忙しいところ恐縮ですが> ぜひ教えていただきたいと思います。

こんばんは、ツボ探検隊です。 
早速ですが、最初は効いていたツボが効かなくなることは、実に日常茶飯事でして、ずっと同じツボだけで、当初の病いから脱出できる事の方が珍しいのです。
 
原因は刺激に身体が馴れてくる事で起きる「馴れ現象」の場合と身体が変化して、既に最初の状態とツボが変わってきた場合です。
ツボが効いた人ほど病いの現在地は変わって行きますね。
その為に鍼灸師は治療の度に腹診や脈診などの診察をして、現状をチェックします。
そしてその都度、治療のツボは検索し直され、是々非々で変わってくるのが「本来の」鍼治療です。
 
実際にお身体を拝見せずに、はっきりは言えませんが、一般にストレスを多く受けた場合は、そちらの方の手当をしないと膀胱炎や冷え性のツボも効果が限られてきます。

強いストレスによって、身体の免疫力(自然な内臓の働き))が極端に落ちて、元々の身体の弱いところに症状が現れてきているのですから、原因であるストレスを無視できないのです。

例えば元々胃の弱い人だとストレスで、胃に穴が空いたり、出血したりと胃潰瘍症状が起きてくることは良く知られていますね? 
日本人は胃に症状が現れて来る人が多いのですが、この場合も胃腸薬を飲んでも、効果は初めだけで直ぐに効かなくなって、手術に至る人も決して少なくないのが現状です。

貴女の場合は、これが膀胱炎として現れて来ているのでしょうね。
女性の場合は子宮、卵巣など婦人生殖器の働きが非常にデリケートで、心身両方のストレスに反応するので、ストレス疾患も微妙、複雑で多岐に亘ります。
直接的なトラブルとしては、心理的ショックで生理が止まったり、不正出血を見たり、流産するケースも、よく知られていますね。
日本では昔から婦人の血液循環に関わる症状を「血の道症」と総称しています。

新たな生命を創り出す、有る意味もっとも微妙なシステムがある下腹部の血液循環に問題を起こしやすいこと(=免疫力が落ちやすい)に加えて、尿道口から膀胱までの距離が直線で短い、肛門に近いなど形態的条件からも膀胱炎は男性に比べて圧倒的に女性に多いのです。
当方に頂くメールからも、年中、ひっきりなしに罹っている女性も少なからずおられるようです。

メールにて伺った限りでは、
元々のお血(血の道症)による下腹の不快感や冷えがあったところに、ストレスが誘因となって膀胱炎が起きているのですから、ストレスに対応した精神科治療のツボを加えるのが良いと思われます。


私どものHPでは
ご自分で出来る精神科ツボ療法としてはTFT療法を紹介しています。
こちらのページも一度ご覧下さい。
 
丹田呼吸法(冷え性向き)
 
 
より確実な対策としては、ツボの専門家である鍼灸師に診て貰うのも良いでしょう。
貴女の様に少し病がこじれた方の為に鍼灸師が開業している訳ですから。
ただし、ストレス疾患の治療は経験や技術が必要な分野ですから、治療経験豊富な鍼灸師でないと良い結果を出せない可能性が高いのです。
その際はネット情報や口コミなどで、調べてお出掛け下さい。
 
ちなみにお飲みになっているという、漢方薬の「トウキシャクヤクサン」(当帰芍薬散)は何故か日本では代表的な「駆おけつ剤」(血の道を治す薬)で、「バカの一つおぼえ」かと思うほど、出されています。
しかし、中国では日本ほど頻繁には使われていない様なのです。
むしろ、同類の薬の中では温経湯とか加味逍遙散の方が多く用いられていますね。
 特に加味逍遙散は処方に当帰芍薬散と同じ「当帰」や「芍薬」も入っているのですが、プラス精神安定効果を持つ「柴胡」や「薄荷」が加わって当帰芍薬散よりも、同じ血の道の方の中でも精神的ストレスを強く受けている方に用いられています。


また話が変わって、長くなりそうで、恐縮ですが、漢方薬の話のついでに言ってしまいますと、落語に「葛根湯医者」というのがありますね。
葛根湯は元々、有名な風邪薬ですが、これをどんな症状にも処方する、ついでに付き添いの人にまで飲ませようとするヤブ医者のお咄です。
葛根湯は名前の通りの葛の根(クズ餅のクズです)にショウガも加わって身体を温める働きが強い上に、代謝を高める甘草も含まれているので、確かに応用範囲の広い良く効くお薬でしょう。
しかし、
当帰芍薬散は先にも書きましたように複雑微妙な女性の身体に幅広く対応したお薬では有りませんね。
昔から「漢方薬を飲んでいるのに一向に効きません」と訴えて鍼灸に来られる女性にお聞きすると、このお薬を漢方薬局で勧められて飲んでいるという人ばかりでした。
飲んでから、胃が悪くなったので止めたと言う方も多いです。
合う人も、もちろんおられるのでしょうが、大多数の女性に合わすのが難しい薬のようです。
それで、ついこの場を借りてしまった次第です。

この薬も元々は中国で考え出された処方ですが、日本にはこれらの中国から伝わった駆お血薬(血の道症を治す薬)を日本人女性向けにアレンジした「中将湯」、「実母散」という処方が100年以上も前に開発され、国内幅広く、広まりました。
日本中に広まって、今現在も販売されているのは、それだけ、多くの日本人女性の体質に合っているのだろうと思います。
いくら時代は代わっても、本来の日本人女性の体質はそれほどには変わっていないはずですから、今も有効なはずだと思っています。

特に明治時代に「中将湯」を発売して、大成功した津村順天堂は、今は「ツムラ」となって、バスクリンなどの入浴剤も有名ですが、本来の漢方薬でも医師向けの漢方薬エキス剤で、独占的地位を築いています。

論旨があやふやになりましたが、女性が病院に行っても良くならない不定愁訴で漢方薬を試される場合は、日本人女性向けにアレンジされた婦人漢方薬を最初に試される方が、賢明かと思われるのです。
(この様な良い伝統薬は昔は「お婆ちゃんの知恵袋」で受け継がれてきたのですが、核家族化の弊害で私のような部外者でも発言しないことには、知らない人ばかりになりました。
誰かが言い伝えないと、良いものでも消え去ってしまう事は、この年になって痛いほど感じる様になりましたので、おせっかいを焼きたくなりました。)

第一に昔から日本にある製剤ですので、当帰芍薬散よりも副作用の事例が少なく、お値段がずっと安いはずです。
1ヶ月分で3000円前後、長く飲むので費用対価は大事です。

「中将湯」は「ツムラ」だけですが、「実母散」は喜谷実母散や日野実母散など数社から出ておりまして、処方も若干違います。
同じ血の道症でも、「実母散」は虚証向け、「中将湯」の方が実証に向いている様に思われます。

「中将湯」
http://www.tokakyo.or.jp/dentoyaku/no2/chuujou.htm

「喜谷実母散」
http://www.kkkitani.co.jp/history.html、
http://www.kkkitani.co.jp/

「日野実母散」
http://www.hinoyakuhin.co.jp/products/yakkou/sub_13.htm#13_01

また今年(07年)になって、脳機能の修復(脳の若返り)の働きを持つ漢方薬のニュースが出ました。
ニュースは日数が経過すると消去されることが多いので、以下にコピーしておきます。
ここで紹介されている「桂皮」、「陳皮」が両方とも入っているのは、中では「日野実母散」だけです。(他社の婦人薬処方には「陳皮」が入っていない)

脳の老化予防、最近映画にも成って話題を集めています、若年性アルツハイマー病の予防も兼ねたいと思われる女性には、この「日野実母散」がお薦めと言うことになります!


毎日新聞社 :【2007年1月5日】

フラボノイド:脳神経損傷回復 漢方の「桂皮」、「陳皮」に含有 
都老人総研などのチーム確認


漢方薬の薬効成分「フラボノイド」に、アルツハイマー病などに伴う脳の神経回路の損傷を回復させる働きがあることを、東京都老人総合研究所などの共同研究チームがマウスを使った実験で確かめた。
米神経科学専門誌に近く発表する。
 脳の神経細胞は互いに突起を伸ばし、その接点のシナプスで神経伝達物質を分泌し、情報を伝えている。情報がうまく伝わるためには、突起を包む髄鞘(ずいしょう)という構造が欠かせないが、認知症患者の一部では髄鞘が壊れていることが分かってきた。
研究チームは、マウスの実験から、髄鞘の形成にかかわる2種類の遺伝子を特定。さまざまな漢方薬から約40種類の薬効成分を分析し、フラボノイド類の中でも「桂皮」(けいひ)と「陳皮」(ちんぴ)に含まれるものが、2種類の遺伝子の働きを高めることに気づいた。

 「桂皮」と「陳皮」を含む漢方薬を髄鞘の破壊が進んだ高齢マウス(2歳半)に2カ月間飲ませたところ、2種類の遺伝子の働きが高まって髄鞘の構造が元に戻り、運動能力も若いマウス(6カ月)と同程度に回復した。

 同研究所の阿相皓晃・老化ゲノム機能研究チームリーダー(細胞生物学)は「市販されている漢方薬にも含まれている成分で、大きな副作用もない。人での臨床研究を進めたい」と話す



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