癲癇(てんかん) の鍼治療法 

名前 =dolphin
性別="女性
age = 30~39
メッセージ =
初めまして。「てんかん」の検索でこちらを拝見させていただいたものです。実は最近、この年齢(33歳)で「てんかん」と診断されとまどっております。子供の頃には特にそういった症状はなく、私の母も驚いています。
今年の一月に電車の中で何か異様な臭い(気のせいかもしれないのですが)を感じ、気持ち悪くなり、そのまま倒れてしまいました。その際、しばらく白目になっていたようで意識が戻った時は少し手が震え(痙攣?)していました。その際は病院では「加呼吸かも」という診断でした。
その後8月に、高熱を出した際、「ウ~」とうなるようになって体が硬直(その際の記憶はない)。同月、海キャンプに行った際に出発前日は一睡もせずキャンプ場でも二時間位の睡眠で、かなり体が疲れていたのですが、その帰りに頭の中がモヤモヤとした感じで気分が悪くなり倒れてしまいました。その時も白目になっていて、体は硬直、途中から「息が出来ない」と言って顔が真っ青になり、意識が戻った時には腕の痙攣があり救急車で運ばれました。その後、脳波やMRIなどの結果「てんかんだろう」と。今は薬(フェノバール)を飲んでいるので発作は出てないのですが・・・。先生の話だと「てんかん」は完治しないので薬は一生飲む、との事で大変不安になっています。
私としては、体調がかなり不調の時に、そういった事が起きるので「疲労からくる貧血」ではないかとも思うのですが・・・。
針などは「てんかん」にかなり効果があるのでしょうか? 一生薬を飲まなくて直る所があれば教えてほしいのですが・・・


こんばんは!ツボ探検隊の松岡です。
「てんかん」とは脳神経細胞の異常興奮による放電現象で、分かりやすく表現すると本人には自覚がないまま一過性の何らかの動作(発作=不随意運動)をしてしまう病気です。原発性、続発性が有り、原発性は未だ原因はよく分かっていないらしいのですが、続発性てんかんは脳に影響を与える様々な疾患や事故などの後遺症として現れるものです。

主な原因疾患としては日本脳炎、脳膜炎、脳腫瘍、高血圧、脳寄生虫などが有り、他に交通事故(頭を打ちやすいバイク事故が多い)や落下、転倒などによる頭部外傷等があります。強い精神的ショック、長く続く睡眠不足による疲労状態によって起こるケースも有るようです。貴方の場合はこのケースかも知れないし、過去にうっかりどこか頭を強くぶっつけた経験が有ったのが、最近になって急な体調の悪化によりその殴打した部分の血行が損なわれ神経細胞に異常を起こしたかも知れません。(この場合は外傷性)どちらにしても「一過性」の意識障害、不随意運動は、やはり「てんかん発作」と言うことになるでしょうね。

現代医学に於ける治療は薬物療法が主体で様々な種類(少なくとも16種類はあるそうです)の坑てんかん薬が用いられています。しかし、現況では発作頻度を抑制、軽減する作用しかありません。あくまで病気の本体である脳神経細胞の損傷を修復するモノでは無いので、薬はずっと飲み続ける必要があります。

発作を抑える薬剤は病的な神経細胞の異常興奮による放電を抑えたり、周囲のまともな神経細胞への放電の伝搬を阻止する働きをします。又問題部位の血流を良くして脳全体の環境を良くする目的を持つ薬も使われます
しかしどの薬も悪くない部分の脳細胞にも作用が及び、しかも長期間欠かさず飲み続ける事により副作用が有ります。
やはり大きな発作を抑制する強い薬ほど副作用も大きいのです。(中でも知的能力の衰退が一番辛いのではないでしょうか)
鍼灸治療は先ず第一に脳の血行を促進する働きがありますから継続することによって脳神経の異常興奮度や興奮頻度を減じる効果が有るのです。
これにより副作用の少ない薬への転換、薬物量を減じる事により全体的な身体状況の改善が図れます。状態によっては電流を流す場合もありますが、当院では頭の鍼には基本的には流しません。完治するかどうかは貴女の場合は原因も脳の損傷レベルも不明ですから、実際にやってみなければ分からないというのが正直なところです。如何にも難しいと思われた症状が意外とあっさり治ってしまうことも有れば、逆に直ぐにも良くなるだろうとたかをくくって掛かると一進一退してなかなか回復基調に乗らず困り果てる事も有るので一概には言えないですね。ひとまず以下の治療のツボをコピーして鍼灸師さんにご相談下さい。

      
癲癇(てんかん)の鍼灸治療 

発作のタイプによって①風痰気逆証、②肝腎陰虚証、③脾腎気虚証の3タイプに分類します。
(当然ながらこれらの折衷タイプも多い)どのタイプの鍼治療も20分程度の留針(針を刺したままに置いておく)を基本とします。もちろん実際には個々人を診察しますから、治療は以下のマニュアル通りには行きません。その方の元来の体質や時候など身体内外の様々な要因によるオンタイムの変化により適宜その変化に応じたツボを選択し、又一般にこの疾患では後頚部、肩背部のコリが非常に強く成っている方が多く、この辺りの阿是穴も取る必要が有ります。

風痰気逆証
(大発作)
発作前にめまい、頭痛、胸苦しさが起きる。発作は激しく顔面が真っ青に成って突然卒倒して意識を失う。白目をむいて歯を食いしばり手足が引きつる。時には口から泡を吹き、家畜の叫び声のような痰の音を出す。舌を噛んだり大小便の失禁を起こすこともある。
舌苔:黄 脈:弦滑(ピンと響く脈)


大発作中は人中(じんちゅう)で意識回復を図り、後谿(こうけい)で手足の突っ張り、硬直を発作が治まるまで強刺激の運針を継続する。
百会、印堂、安眠、風府、大椎(直刺)、腰奇、足三里、豊隆、太衝 

肝腎陰虚証 発作回数が多い。めまい、ふらつき、
身体がだるい或いは普段から疲れやすい。
疲れると何となく熱っぽい感じがする。
不眠、精神不安、モノ忘れが激しい。
舌苔:ほとんどない
脈:細沈(奥にあり小さく触れ難い脈)
百会、安眠、太陽、印堂、風府、大椎、肝ゆ、腎ゆ 腰奇
脾腎気虚証 胃腸が弱くて疲れやすい。一時的な意識の消失や会話の中断などが起きる。
顔色が青白い、手足の緊張、つっぱり、首のぐらつきが起きるときもある。
発作後には疲労困憊した感じに成る。そのまま眠ってしまう事もある。
舌:淡 
脈:澪細(転々と細々く小さい脈)
百会、印堂、風府、大椎、脾ゆ、腰奇(上方に向けて刺針)、胃ゆ、曲池
癲癇のツボ 癲癇の治療のみに使うツボが有ります。「腰奇」やその名もずばり「癲癇」(てんかん)と言う名のツボです。これらはどちらも腰背部に有りますので随時患者さんの状態を診ながら選択して下さい。
寸尺計測法:患者さんの手の寸法:目安です。
百会
(ひゃくえ)
頭の中央、両耳先を結んだ線上 或いはこの直ぐ後部の凹み
印堂
(いんどう)
両方の眉毛の間の中央点。眉間
太陽
(たいよう)
眉じりと目じりの中間点の外側約1寸の所の凹み
人中
(じんちゅう)
鼻と唇の先端間を3等分した上に3分の1の所 片手で肉をつまんで斜め上に向けて刺鍼
安眠
(あんみん)
胸鎖乳様突起の停止部で乳様突起下の陥凹部の前5分
風府
(ふうふ)
後ろ髪の生え際、中央の親指の幅1寸だけ上の所
大椎
(だいつい)
第7頚椎きょく突起の下
肝兪 
(かんゆ)
第9胸椎棘突起下の両側約1寸半センチの所
脾兪 
(ひゆ)
第11胸椎きょく突起下の両側約1寸半の所
胃兪 
(いゆ)
第12胸椎きょく突起下の両側約1寸半の所
腎兪 
(じんゆ)
第2腰椎棘突起下の両側約1寸半の所
癲癇
(てんかん)
第12胸椎きょく突起下。(背骨正中線上の凹みの中)直刺0.2~0.5寸。鍼を刺すと局所麻酔で痺れた感じ(麻)に成ると成功
腰奇
(ようき)
第2仙骨陵と第3仙骨陵の間の凹み 尾骨の上2寸 肉をつまみ上げ針先を上方に向けて皮下をすくうように刺鍼
曲池
(きょくち)
肘を曲げて出来る横筋の外側の先端の陥凹部
後谿
(こうけい)
拳を握り小指側の一番外側に出来るシワの端の所
足三里
(あしさんり)
むこうずねの骨の外側を膝から3寸下がった少し外側で凹みを確認する事
豊隆
(ほうりゅう)
外くるぶしの上、約8寸所、盛り上がった筋肉の中を押して痛い所
太衝
(たいしょう)
足親指と人差し指の間をたどり、二つの骨が出会う所

百会(ひゃくえ) 風府(ふうふ) 安眠(あんみん) 大椎(だいつい) 肝兪(かんゆ) 脾兪(ひゆ) 胃兪(いゆ) 腎兪(じんゆ)癲癇(てんかん) 腰奇(ようき) 太陽(たいよう)  印堂(いんどう)
 人中(じんちゅう)

曲池(きょくち)
後谿(こうけい)
癲癇(てんかん) 腰奇(ようき) 足三里(あしさんり) 豊隆(ほうりゅう) 太衝(たいしょう)
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