★ ツボの将来? ★
>名前 =M・M
>性別 = 男性
>age = 30to39
メッセージ =
> 今度「ツボ」について発表する事になりました。正直色々な意見や説明があり、> 自分自身よく分かりません。そこで、先生がお考えになる最も分かりやすいツボの説明をお聞かせ願いたいのです。> また、ツボの将来についての見解もご拝聴したいです。> どうぞよろしくお願いします。


こんばんは!ツボ探の松岡です。
最近は難しいご質問メールが増えてしまい順番にお答えしているつもりですが、なかなかはかどらず返信が遅れてすみません。

「>最も分かりやすいツボの説明」・・をとのことですが、ツボの存在はまだまだ現代科学では実証されていないのですから、どの様な「説明」も様々な前提条件を自在に駆使した「仮説」に過ぎない訳で、「色々な意見や説明があり・・・」なのはむしろ当然ですね。 「>自分自身よく分かりません」と言うことは貴方に対してより説得力を持つ新たな「仮説」を望んでおられるという事に成るのでしょうが、しかしそれも実は可成り難しいのです。
もしもどなたにも強い説得力を持つ「仮説」が有れば既に世界中でツボ治療がもっと試されて「仮説の検証」が行われ、結果的に科学的解明への大きな力となっているはずですが、現実には現代医学の急激な発展の裏でツボの核心に迫る解明は呆れるほど進んでいないのが現状です。

もちろん私どものサイト:「ツボ探検隊」では説得力を持つ新たな「仮説」の立ち上げに必死で取り組んでいるつもりです。その意味で「Fun of Acupuncture」とサブタイトルも付けました。

一般に「Acupuncture」(鍼治療)の単語に「Fun」(愉快な、楽しみ)の語は馴染まないはずですが、“ツボネタ”で「思考ゲーム」を楽しんで頂きたい、「知的テンション」を上げて頂きたいとの意で、強引にくっ付けてしまった次第です。

ですから当初より東洋医学に対して用いられる「曖昧さ」に満ちた「表現」の「受け売り」を排し、出来るだけ既に言い古されている視点では語らず、オリジナルで有りながら説得力を持つ「仮説」を臨床家としての経験を基に模索してきました。

そしてそれらは主にサイトへ頂いたご質問に対してお答えする形で少しずつお伝えしています。結果的にかなり多くのページを割いて開陳させて頂いておりますので、誠にご面倒ですがQ&A覧を逐一ご参照下さい。

何といってもほぼ4年間以上綴っておりますので、私自身の考え方に時と共に調整が加わっている部分も多々有りますが、この点では一覧表の下に行くほど調整が進んだアイデアであるとご判断下さい。 http://www.shinkyu.com/q.html


あと未だにお伝えしていないのがご質問の最後にありました「ツボの将来についての見解」です。このご質問を頂くのは間違いなく初めてです。そして「間違いなく」このご質問にお答えすると結果として私のツボに対する「仮説」の正体(?)が明らかに成りますね。

ツボは「脳」が体表に送っている「信号」のようなもので、この「信号」を解明することは底なしに複雑とされる「脳」の働きを解明する事とイコールに成るだろうと考えています。その意味で私は「高麗手指鍼」に注目しているのです。
これは「手のひらのツボ」だけで全身に起こった病気を治療するアイデアで、私も何度も試しましたが、身体のツボとは効き方が相当に違います。一言で表現すると手のひらのツボは「脳に直結している」レベルが非常に高い感じなのです。
その為にたいした訓練を受けていない素人の方でも直ぐに様々な病気を治す事が可能です。この事は私どもが数時間だけご指導させて頂いた一般の方々が高麗式ツボ療法を実践し様々な病気で効果を上げて証明してくれました。
それまでの中国式のツボ療法では多くの病気を治す為には相当な勉強や訓練、才能を必要とするのに対して高麗式のツボ療法では短期間の訓練でその様な人達の能力を凌駕していまいます。
これは正しく人類にとっての「手」の特殊性の成せる技で、「足」はもとより身体のどの部分よりも「手」が「脳」との結びつきが強力である為に「手のひら」だけを操って病気を治す治療法も非常に強力で効果がクリアなのだと思います。
・・・と言うことは「ツボ」が「脳」の状態を表す任意点、「脳」と直結したポイントだという「仮説」の解明には、全身にくまなく存在する「ツボ」ではなく、身体中で最も「脳」と密接な関係にある「手のひら」のツボを利用することが最も簡便であり最も有効な手段のはずです。
例えば心臓に該当する手のひらのツボを刺激して「脳」の電位的変化などを発見し、と同時に心臓に起こった変化をも見ます。 手に起った変化が直ぐに「脳」に伝達されることは既に科学的解明がされていることですから、その事とその直後に心臓に起こった変化がリンクしているかどうかの研究は決して難しいとも思えません。

(心臓病を患い養生中の方の不整脈が「心臓を表す中指の付け根」の圧痛点を爪楊枝で1分間ほど押しましたら、しばらく間はすっかり脈が整ったのです。それまで声がかすれがちで定まらず聞き取りがたかった会話音が大きくクリアになり顔色も一気に良くなりました。この間たった約2、3分です。その後この方にツボの位置と刺激方法をお伝えしましたら、約一ヶ月後にお会いすると随分元気になって外出が楽になったと丁重にお礼を言われました。不整脈の改善は「脈診」で客観的に効果が第三者にも分かりやすいので「症例」として分かりやすいと思います。もっとも心臓は一番暗示効果が現れやすい臓器だと言われるかもしれません。ですからこの実験は動物を使うのが良いと思います。)

手のひらのツボはもちろん心臓のみならず全身の臓器や組織を表現していますから複雑な人間の「脳」の働きを知る為の大きなアイデアとして、研究面積が「脳」と「五本の指と手の裏表」だけという非常に限られたエリア内で完結するだけに大変に現実的です。 おそらくこの実験を成功させれば「脳」の働きや仕組みが飛躍的に明らかになり「ノーベル賞」級の成果を得られるのではないでしょうか。
つまり私の考える「ツボ」の将来は「脳」の仕組みを探る研究手段とも成り得るほどに、「脳」の位相を変化させる為の任意点として用いられるだろうと云うことです。
全身の機能をコントロールしている「脳」を逆に全身の「ツボ」を駆使してコントロールする、「逆もまた真成り」で脳の「逆コントロール」を目的に用いる比類無いアイデアだと考えています。

その意味で言うと「鍼灸ツボ療法」とは現代医学による「患部の病巣に向けて直接的に働きかける」治療方法ではなく 患部を離れた脳を動かすポイント(ツボ)から脳に向けて信号を送ることで「病いをコントロールしていた「脳」を変化させて病気を治そうとする治療法」、ちょっとかっこ良く「脳から病いの記憶を消す治療法」と表現しても良いかも知れませんね。もちろん全てのツボが脳をコントロールする目的で用いられる訳では有りませんよ。
内臓の近くにあって患部に直接働きかけるツボももちろん沢山あります。身体のお腹や背中など胴体に有るツボは主にこの様なツボで、手足の末端に有る「ツボ」こそが前述の脳を変化させる効果を持つツボだと考えられるのです。(もっとも直接的に頭に鍼を刺す「頭皮鍼」は脳に働きかける効果を持ちます)

この様に「ツボ」には少なくとも「患部に直接働きかけるツボ」と「身体をコントロールしている脳に働きかけるツボ」の2種類が有る訳で、鍼灸治療(臨床)に際してはこの2種類のツボを患者さんの容態に応じて、つまり診断により縦横に組み合わせて行います。鍼灸において「名医」と言われる治療家ほど後者の「脳に働きかけるツボ」の選択や操り方(テクニック)が上手く、これにより難病を治すことが可能となるのです。=鍼灸名医の仕組み?


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