> 名前 = U > 性別 = 男性 > age = 30to39 > メッセージ = > 『井穴刺絡療法について』 > *****大学医学部4年生のUと申します。 はじめまして。 > 20歳頃より花粉症および回帰性リウマチ様関節痛に悩まされていました。> 花粉症は4-5月にかけて鼻水が止まらなくなるという症状、> 回帰性リウマチ様関節痛とは、ある日は右膝が痛くて曲げられない、> 次の日は左肘が痛い、次の日は右の手指が痛い・・・というように関節痛の> 箇所が移り変わっていく症状です。 > 今年になって『鍼灸の挑戦(岩波新書)』を読んで、井穴刺絡療法に興味を> もち、「ダメもとで」と思い、4月に横浜の浅見医院を訪ね、治療を受け> ました。治療法は、井穴における瀉血です。 > 5回通院し、見事に花粉症も関節痛も治ってしまいました。自分でも不思議 なくらいです。 > > 浅見先生(91歳!)は医師ですが、この30年は刺絡のみでやっているとおっし> ゃっていました。 > 治療機序は自律神経のバランスをとることによる、だそうです。> > 浅見先生は井穴(+百会)の刺絡のみでさまざまな疾患に対応できるとお考えで、> 私自身もこのようにシンプルな療法で効果があるのならば、医師としてもこの 療法を学んでおくことは治療の引き出しを多く持つという意味で有意義なので はないかと考えています。 > もともと瀉血療法は鍼灸治療のひとつと聞いたことがありますが、松岡先生は> 井穴刺絡療法について、東洋医学の観点から、治療機序や治療範囲について> どのようにお考えになりますでしょうか? |
(返信内容に一部加筆しました) こんにちは、ツボ探検隊の松岡です。 貴重な臨床報告をお送りいただき有り難うございます。瀉血療法に関しましては、何度かQ&Aのページにて私見を記しています。 3月に中国に行き、3月30日に戻りましたら、翌4月始めより反日ストの嵐が起きて、危うく巻き込まれるところでした。毎年一度か二度は中国を訪れていましたが、この度に限りやはり何か我々に対する目が不穏でした。 一連の反日教育で中国国内に於ける内部矛盾のガス抜きをタイミングを狙って仕掛けて来ている事は明らかですが、実は瀉血療法も同じ様なものでしょう。 中国では内乱を鎮圧するのは武装警察部隊ですが、尖閣列島~対日となれば人民解放軍の出番となりますね。一般的な鍼灸療法などはいわば内乱を治める武装警察部隊(日本ならば公安警察)の様なものですが、瀉血療法は人民解放軍出動(自衛隊出動)で、治癒機転に対しては内戦と全面戦争ほどの違いが有ると思っています。 現代に於ける難病の代表的存在である、アレルギーなどいわゆる自己免疫疾患は中国に於ける地域、貧富格差の如く最も深刻な内部矛盾の様なもので、中国から見た「日本」の如く、ウイルスや細菌など強力な「外敵」の出現が最も容易な鎮静化策だと思われます。しかし、その「外敵」もやはりそれなりに「強敵」でないと効果も薄く、また「強敵」で有ればミイラ取りがミイラに成らないような多くの知恵(ウイルスや細菌のコントロール)が必要で、そこが一番の問題です。(しかし、きっと将来的には無毒化に成功したウイルスや細菌がガン細胞などをやっつけてくれる時代が来るでしょう) 井穴瀉血ですが、実は井穴以外でも瀉血が効くツボは色々ありますよ。 (※井穴=両手足の指先にあるツボ) 瀉血とは早い話、「出血」ですが、全ての細胞、組織は血液によって運ばれた酸素や栄養素により賄われている訳ですから、 血液の流失=出血は生命にとって「外敵(細菌、ウイルス)出現」を除けば最高の緊急事態、有事警鐘ランプの点灯開始と成っているはずです。 日本の国会だって郵政民営化でいくらゴタゴタしていても、テポドンが日本に向けて発射台に「スタンバイ!」って一報が入ったら、与野党一致で、サーッと一瞬でテンションが変化するはずです。 ・・・と言うような変化を身体内部に起こすのが瀉血療法で有ろうかと考えておりますので、私的には手の内を使い果たした際の「最後の手段」と位置づけています。 つまり、「同一人」に対しては「頻繁に行うべきでは無い」ように思っているのです。 生体反応も「オオカミ少年」化させてしまうと、例えば「止血機能」を高めるために「血小板の増加」(血液粘度亢進、血栓形成の促進要因)とか好中球など「顆粒球の増加」(相対的にリンパ球の減少) などなど血液内部でも新たな変化が当然起きてくるはずです。 これは更なる体内環境の変化を誘い、本物の「外敵」に対して弱くなるのではないか?・・・という危惧です。いくら反乱軍に強くても本物のオオカミ、外国が攻めて来た時に弱くなっていたら大変ですからね。 その辺りの疑いが晴れませんので、どうしても積極的に行う気に成れないのです。 内乱の制圧にエネルギーを費やしてやっきに成っている間に、外国から攻められて、あっけなく陥落、植民地化した歴史を持つ国など、すぐご近所(!)にもご存じのように幾らもあります。 思い起こしてみますと、鍼灸を始めた若い頃は劇的効果に惹かれてちょくちょく瀉血も行っていましたが、今は一年に一度行うかどうかも怪しい程度、実際にほとんど行わなくなりました。 また別の大きな、しかし非常に重要な理由としましては、やはり「感染」に対する恐れが有ります。 年若い新人時代と比べて現在では本当に様々な疾患の患者さんが訪れますので、その辺は正直なところ、随分と臆病にも成りました。 しかし、U 様がお書きになっている様に慢性関節リューマチなど自己免疫疾患は何らかの理由で(←それが問題なわけですが・・。)血中リンパ球過剰(副交感神経優位)が起こしている病だそうですから、「瀉血」によって「生命の危機感」→「交感神経の緊張」が起こり、それにより顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)が増加し、副交感神経優位が起こしていたリンパ球(T、B、NK)過剰との数的不均衡が改善される事で交感神経と副交感神経のバランスが整う、つまり自律神経のバランスも整うので症状が治まるのならば非常に理には叶っている訳です。(血液内部で起こっている変化については私自身が確かめる術を持っていませんので、免疫学者の安保教授説に従うならばですが・・。) 05.8・01 余談 思い起こせば、ペリーの黒船来訪は「井穴瀉血」だったのですね。 内部分裂・思想派閥が入り乱れてボロボロだった当時の国内情勢(=免疫不全状態)が、黒船により列強諸国に対する危機意識が上下左右くまなく集結し、一気に大政奉還~明治維新:版籍奉還、廃藩置県、四民平等(士農工商の廃止)等々へと本丸的改革が将棋倒しの様に進み、アッという間に日本は近代化路線上を走り出しました。 もっともその性急な改革のせいで鍼灸をはじめ漢方治療を行っていたそれまでの医師達(漢方医)が非文明的とされ医師としての地位を今日に至るまで法律的に剥奪される結果となりました。何事も必ずしも良いことばかりでは無かったはずで、おそらく他にも漢方医の如く、その価値を不当に貶められ、消え去った学問や技術(=文化)も多々あった事でしょう。 しかし、その様な有無を言わさず進行する「勢い」こそ、正しく「井穴瀉血」的効果と言えるのでしょう。 |
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