> 名前 = M > 性別 = 男性 > age =over50 >メッセージ =「四名穴」ってどこにあるのでしょうか、教えてください |
M様へ 「四名穴」そのままの記述では14経絡は無論ですが「奇穴」にも無いし、申し訳ないですが勉強不足で思い当たらないのです。(友人の中国の鍼灸医も聞いたことが無いそうです) 「無名穴」=第2胸椎棘突起下で癲狂(精神病)を治療するツボ=でしたら「奇穴」に有りますが・・。 「四」の文字が付いている経穴、奇穴は「四神総」「四とく」「四白」「四縫」「四満」などがありますね。 又別に「四」が付くのでは有名な「四関穴」=両手の「合谷」と両足の「太衝」=もありますがその事でもないでしょう? ひょっとしたら中国の鍼灸古典書「鍼灸聚英」(1529年高武著)の中などで一覧が記されている複数の名で呼ばれているツボ(経穴)の事ではないでしょうか? これだと「四つの有名な穴」では無くて「四つの名を持つ穴」に成りますが・・どうでしょう? ちなみに同書では「2名穴」から「6名穴」まで記載されています。 これだと「四名穴」は8種あります。 順に記します。 「唖門」「攅竹」「関元」「中極」「天枢」「京門」「承山」「承扶」の各ツボはそれぞれ別名を他に3つ持ってて合計で「4名穴」です。 ツボの名前は ①そのツボの在る位置的な特徴から名付けられたモノ。 ②ツボの効能から名付けられたモノ。 場所的にもツボの効能からも説明し難い場合は ③ツボの機能や影響力を抽象的な概念や表現で名付けたモノ。 など様々な要素で名付けられますが、どれもツボの効果や何らかの特徴を名前だけで判断可能にする目的から命名されてます。又幾つかの要素を合体させて命名しているツボ名もありますね。 ちなみに上の「4名穴」のツボ名では ●「唖門」は後頭部にあり「失語症」のツボですから”唖”(言葉が喋れない状態)の門戸を開くツボの意味で②の効能からの命名です。 ●「攅竹」は眉頭にあり眉の形が「竹」の葉形で、その毛の流れの集まった「攅」の場所にあるツボということでつまり①タイプの命名法 ●「関元」これはいわゆる生命にとって最も大切なお腹の「臍下丹田」のツボで「元」気の出入り口「関」所である。と命名されていますから③タイプでしょうね。 残りのツボについて ●「中極」①タイプの命名 ●「天枢」②③タイプの合体 ●「京門」③ ●「承山」①②の合体 ●「承扶」② 一つのツボでも多くの名を持つツボの場合は長い時代を経て頻繁に使用された経緯から要素の違う別の角度から名付けた「別名」を多く得ている訳ですから使い道が多い多方面に効果の高いツボだと思います。 ちなみに 最も有名なツボの一つで頭の頂上の「百会」=(ひゃくえ)は「五名穴」で、「百会」以外に「三陽」「五会」「嶺上」「天満」の四つの名前を持っています。「百」と言うのは英語で言えば「all」の意味で「全ての経気の流れが出会うツボ」という程度の「百」ですね。すると前二つの「三陽」=3つの陽気が合流する所。「五会」=五気が出合う所。もツボの機能的性質③からの命名で「百会」と同種で、後の二つはツボの位置的命名①に成ります。 ご参考までにもう一つの「五名穴」は肋骨の間にある「章門」で「長平」「季肋」「肋りょう」(漢字フォントが無いので!)の5つ名を持っています。 「六名穴」は「腰輸」と「石門」の二つです。 「腰輸」は「背解」「腰扉」「髄孔」「腰柱」「髄腑」の六つの別名を持っています。 「石門」は「利機」「丹田」「精露」「命門」「三焦募」の六名です。 ツボ名に用いられた漢字の意味からツボの効能がおぼろげながらも察して頂けるのではないでしょうか。 欧米ではもちろん漢字が有りませんので鍼灸を学ばれる欧米人はこの点でツボの勉強に面白みが無いはずですね。英語の鍼灸テキストではツボの名前は全てその内臓を示す英語の頭文字と先端からの順番号になっています。 胃経は「Stomach channnel」と訳され上のツボから順に1から45までの番号が付けられています。 有名な胃経のツボである「三里」は「Stomach-36」となり、省略して「S-36」と呼ばれます。 これだと漢字のツボ名と違って別名が幾つも発生する事もなく、「四名穴」なんて何の事やらですね。 やはりツボを学ぶ事は漢字の語源を知る楽しさも十分に有る訳で、漢字の国に生まれて良かったと鍼灸をやっていていつも思います。 取りあえず私の知っている範囲の「4名穴」の回答に成ってしまいましたが、後日「四名穴」と呼ばれる単独のツボを発見したら再度ご報告致しますので今回は取りあえずこんな感じで失礼します。 ツボ探検隊の表紙に戻る |