> 名前 = ★・☆ > 性別 = 女性 > age = > メッセージ = > 最近、インターネットで中国福建省老年医院理療科の女医陳青(54歳、独身)が、生まれて20何日で脳 性麻痺で親に捨てられ、孤児院で暮らすの女の子を1歳半(当時発達指数15)を4年前(2001年)から自 宅に置いて、4年間治療して、発達指数104まで達し、普通の子と同じく、いろんなことが出来るよう> になった記事(『養母が自分で研究した針灸法で脳性麻痺の娘を治した』2005年11月22日 > http://www.dnkb.com.cn/news/20051122/002932.html)を読みました。 (上のリンクが消滅していた場合はココをクリックして下さい) インターネットで調べても、日本での小児の脳性麻痺の針治療の成功例を見つかりませんでしたが、先生は脳性麻痺の針治療をどう思っ ていらっしゃるんでしょうか?貴針灸院では脳性麻痺の針治療をなさっていますか?効果はどうですか? > 貴針灸院サイトでいろいろ調べましたが、見つかりませんでした。 もしあったら、私の調べ不足で、ごめんなさい。 |
こんばんは、ツボ探検隊の松岡です。
中国の情報を有り難うございます。 さてご質問に関してですが、脳性麻痺の治療に針が効果が有ることは、日本でもそれなりの経験を積んだ鍼灸師であれば、誰でも知っている事だと思います。また例え自らは治療経験が無い鍼灸師でも日常的な鍼の効果から、脳性麻痺にも当然効果があるはずと感じているはずです。 以前、私の治療院でも27才の重症脳性麻痺の女性が通院されていたことがありました。 鍼灸を学び始めたこの方の知人に勧められて来られたのです。 初めて来られた時はソファーに自分の力では座れない状態、いわゆる「腰が座らない」「一人座り」が出来なかったのですが、治療により背筋力が付き、一人で座れるようになりました。 その後の治療で強く内転していた両足首が徐々に正常な位置に戻り始め、支えられれば真っ直ぐ立つことが出来るように成っていたのです。 このままのペースで治療を続ければ、おそらく一人で支えられなくても立てるように成った可能性が高いと思われましたが、この方を遠方から車で連れて来られていたお父さんがご病気になり、治療は中止となりました。 実を申しますと 現在保険で認めている鍼灸治療は整形外科6疾患だけです。一回の保険治療費は千円余りで、自己負担はこの2割~3割です。 この対価では例え脳性麻痺など他の疾患が適応になっても難病を完治させるための手厚い鍼治療は非常に困難でしょう。 その為に一回の鍼治療を10分程度にして、低周波など他の補助治療を加えてトータル保険金額を上げたり、回数を多く通わせて数で稼ぐ所が出てきます。 しかし肝腎の鍼治療は設定金額が低い為に非常に手抜きになります。この様な治療院が年々増えているのが日本の現状です。 これは言い換えると、早晩、鍼灸師の技術力低下に結びついてきます。 既に私が鍼灸を学び初めた40年ほど前に比べると、鍼灸師の平均的な技術力はかなり落ちている様に感じます。 脳性麻痺児の鍼治療ですが、薬を全く用いないで、失った脳の機能の修復、再生を促すにはそれなりの治療時間も回数も絶対に必要です。健常児なみの機能回復を求めるには、何年も何年も通わなくては成らないでしょう。 つまり現在の保険では鍼灸適応とは認められていない疾患ですから、保険が使えず、親が相当に裕福でないと治療を継続するのが難しいのです。もちろん経済的な負担以上に通院に要する親の労力負担は図り知れません。 また困ったことに日本の医師には鍼灸について知識のある人が滅多にいないのです。 その為に患者さんが鍼灸に通っていると話すと、「お止めなさい」と強く禁止するお医者さんも未だに多いのです。 それで患者さんは医師には内緒にして後ろめたい気持ちで鍼灸院に通う事になります。 この様な医師との関係も脳性麻痺児の様に長期治療を必要とする方の継続を困難にしています。 医師が鍼灸について知らないことを攻める気持ちは有りません。 どこまでも細分化されながら進歩を続けている現代医学では自らの専門分野だけでも進歩に追いつくべき日々の勉強は大変なはずです。 しかし、知らない分野ならば、むしろ全否定せずにご自分の患者さんが受けている鍼灸とはどんなものかを素直に患者さんにお尋ねになるくらいの、好奇心を持って頂きたいなぁ~と日頃から感じています。 (余談ながら、私自身も常々自らに言い聞かせていることですが、私たちの仕事はこちらの治療にクレームを付けてくる患者さん、思い通りに治らない患者さんほど大事にしないといけないのです。 ともすると、日本の患者さんは医師には耳障りの良いことばかりを話し、陰では治療に対する不満を洩らします。治療家は自らの治療に対するクレームを直接自分の耳で聞く機会は非常に少ないので、どうしても「井の中の蛙」に陥り、うぬぼれて「天狗」になったり「慢心」してしまい易いのです。 これではどんな医療も決して良くなりません。「神様」が行う訳では無いので、医療もやはり失敗は成功の母で有ることには変わりないのです。 患者さんのクレームで自らが悩まないと治療家の腕も上がりようがない。 成功した治療よりも失敗した治療が大事なのは鍼灸も現代医学も同じはずです。このことは「自戒」を込めて学生達にも繰り返し伝えています。) 実は昨年フィリピンに住む日本人のお母様から脳性麻痺のお子様の鍼灸治療について質問がありました。その時私は以上の日本の鍼事情があるので「何とか貴女自身が鍼灸を学んでお子様の治療を行いなさい」とアドバイスしたのです。 我が子を治したい一心で必死に勉強すれば、必ず腕が急速に上がるはずです。とも書きました。 しかし、そうするとこれはお送りいただいた中国のお話と同じになりますね。 先の患者さんもそうでしたが、 やはり脳性麻痺の治療には肝腎の脳細胞に向けた頭部のツボや脊髄神経に効果を及ぼすための背骨(椎間)のツボを使う治療が不可欠ですので、恐がりの子供には辛いです。 この事も日本の脳性麻痺児の治療の大きなネックに成っていますね。 実は痛みというのは主観的要素が大きく、不安感や恐怖心が強いと余計に強く感じるのですが、中国人の方が鍼に対する不安が少ないので鍼治療の痛みにははるかに強いです。 日本人は「針で刺される恐怖」の方が「刃物で切られる恐怖」よりも強く感じる文化を持っているのかも知れません。 確か欧米人は逆に「針で刺される恐怖」よりも「刃物で切られる恐怖」が何よりも痛そうで、恐いと感じるそうです。 尖った針状のフェンシングの決闘を見る方が日本刀の対決を見るよりも「恐い」と感じるのが我々日本人なのでしょう。 ニワトリが先か卵が先か議論と同じで、日本では脳性麻痺の患者さんが鍼治療をほとんど受けないので効率的な鍼治療システムが確立出来ていない、信頼できる治療データも無い、治療費の保険による補助ももちろん無い。とにかく無い無い尽くしですから、求めておられる日本国内の情報は得られなかったのでしょう。 一般人に鍼に対する理解が少なく、単に痛そうな治療との認識しか持っていない人が多い。 中国では鍼を難病治療の最後の手段で「切らない手術」くらいの強い意識で治療を受けている人が多いそうですから、受けるときの覚悟も日本人とは違うようです。 ※蛇足(内緒のはなし) 日本では鍼灸が専門科目に分かれていないので腕が有る鍼灸師の所へは内科、整形外科、脳神経外科、眼科から耳鼻科、皮膚科、婦人科、泌尿器科、精神科などなど全てにわたる難病の患者さんが押し掛けるので治療家は超多忙で自らが体力的限界ぎりぎりで仕事をしています。 嫌がったり痛がったりして泣くのをアヤしながらでないと進まない子供の難病治療は他の患者さんの何人分も疲れるものです。正直なところ、多忙を極める鍼灸師では脳性麻痺児の治療を断るケースも多々考えられます。(中国には脳性麻痺児の専門鍼灸医が居るのですが) 逆に患者さんが少ない鍼灸師はヒマで時間も体力もたっぷりあるはずですが、例え治療を引き受けても脳性麻痺児を治すだけの腕が無いでしょう。この辺りのミスマッチも実は非常に大きいはず。 |
私は来日9年になる中国出身の人です。日本の事もある程度分ってきました。 「実は昨年にフィリッピンに住む日本人のお母様から脳性麻痺のお子様の鍼灸治療について質問がありました。その時私は以上の事情があるので「何とか貴女自身が鍼灸を学んでお子様の治療を行いなさい」とアドバイスしたのです。
私は中国出身で、1999年40歳の時、陣痛2日後、帝王切開で娘を生ました。当時、来日1年で、日本人の夫の「日本は医者任せだから」と言う通り、医者任せでした。もっと早く「手術してください」と言わなかったこと、後になって、夫も悔やんでいました。「仮死状態だから、手術する同意書にサインしてください」と聞かされたとき、「昨日から病院にいて、仮死状態になるまで、医者はなにしたの!?」と怒りたいのを我慢して、一刻も早く手術できる様にしたことは、後に聞きました。 娘が生まれた時は産声が聞こえなく、ただ「う、う」だけ聞こえました。2290g体重でしたが、病院は40週生まれで成熟だと、保育器の中には入りませんでした。10ヶ月検診で、発育遅れと言われ、精密検査(MRI、血液検査、染色体検査、聴力検査など)しましたが、異常見つからずと言う結果でしたが、療育園に紹介され、「原因不明の発達遅れ」と診断され、3ヶ月入所を勧められましたが、「いやです。中国に帰ります。」と言って、2000年6月中国に帰り、いろんな医者にみてもらいました。 中医にも西医にも、出産過程延長で、脳に酸欠状態が続き、脳細胞がダメジーを受けたことが発達遅れの原因だと言われ、毎日、高圧酸素箱(?)の中で50分くらいいる療法を2週間受けました。その前に、別のところで小児スイナも2週間受け、足が冷たい、お腹が張ることが良くなりました。中国に行く前は、何ことにも興味がなく、表情もあまりなかったですが、2ヶ月後、日本に帰ると夫がびっくりするほど、丈夫になって、大分元気になりました。それから1歳半になった娘を連れて、PT、OT訓練に通いながら、ベビースイミングに通い始め、2001年末2歳10ヶ月で、歩ける様になりました。 2002年9月、3歳半の時、偶に単語がでて、10個くらい、言いましたが、2003年4月、保育園担任の先生が変わってから、単語も出なくなりた。2003年8月、4歳半ごろ、熱出して、痙攣を起こして、入院5日間しました。3週間後脳波検査し、3ヶ月後も、痰がのどに詰まって、呼吸困難、顔色、唇色がだんだん紫色に変わるところ、私が対口吸引して、痰が切れて、顔色、唇色が正常に戻りました。担当の医者に言ったら、癲癇発作だった可能性があるといわれ、脳波検査して、癲癇と診断され、それからずっと朝晩服薬してます。 2004年3月に北京に行って、賀普仁先生から3ヶ月針治療を受けました。毎日バス乗り換えで、通院してましたが、歩く距離が20分以上あって、抱っこしたり、手を引っ張って歩かせたりして、腕が疲れましたが、1ヶ月以上針治療したところで、ある日、手を握ったら、すーっと歩いて、それから、楽に歩ける様になり、とても感心し、嬉しかったです。 2004年2月に1回癲癇発作があって、それから、2005年2月まで1年間発作がなかったです。針治療のお陰で、もう治ったかなと思ったら、3月、4月、5月、月1回発作を起こし、毎回呼吸困難で救急車を呼び、3回入院しました。付き添いで、私も疲れ果て、体調を崩し、仕事を止めました。 5月の発作は、駐車場で車の中で、発作の過程を、ただただ見ながら、救急車を呼ぶしかない、その時の心境、ことを思うと、何かしないと、という思いで、日本で針治療が可能かどうか、インタネットで探して、探して、いろいろ無理があること、それなら、私が針の勉強をしようと思いました。 結局、針の勉強も東京の針灸学院に通うことが不可能だったので、そんなこんなで、インタネット上を毎日、探すところで本草薬膳学院のホームページを見て、通信コースの薬膳の勉強しようと決め、勉強を始めて、半年過ぎました。いろいろ学び、普段の食生活で、いろいろ応用し、効果もあって、本当に楽しく勉強してきました。 昔、針の勉強を少ししたことがあって、北京で賀先生の本『針具針法』を買って、よんでみたり、賀先生が刺すツボを覚えて、日本に帰ってからもしばらく週2、3回刺しましたが、だんだん自分が刺す針がどれほど効果があるか、分らなく、自信がなくなって、止めました。でも、いろいろ調べて、癲癇発作に有効なツボ(太衝、百会、中皖、合谷)を覚えて、発作が始まるとき、押してみたら、太衝を押すとすぐ反応して、顔色も戻りました。7,9,11,1月と2ヶ月1回、発作を起こしましたが、そのたびにツボ押しで、5分~10分くらいで収まりましたが、段々ツボ押しの反応が鈍くなっている感じです。そこで、1月は、太衝に針を刺して、収まりました。 1月中旬に中国の針灸医者陳青が4年針治療して、脳性麻痺の子が普通になったこと聞いて、関連記事をいろいろ探して、何回も何回も読んで、子供が普段の生活をしながら、針治療を受けるには私が本気で勉強するしかないと思い、12経絡の勉強をしています。 発作の夜、子供が熱(37.9度、のどの奥が5mmくらい赤くなって、風邪が始まったばかりと思いました)で目がさめて、2時から4時まで、本を読みながら、手太陰肺経、手陽明大腸経、手少陰心経、手太陽小腸経の手のツボを覚えながら、押したりして、眠っていたのが、6時10分、発作が始まって、目がゆっくり動き、唇が段々黒くなる時、左足太衝を刺したら、針が入らなく(硬直した感じはなかったですが)、曲がりました。中皖を刺したら、お腹が中で、ぐるぐる音がし始め、少商、商陽、少衝等を刺して、少衝からプッーと黒い血がでて(1滴位の量)、唇の色が元に戻りましたが、左手をひねって、左足も硬直したことが目に入り、まだ収まってない、どこ刺そうか?・・・百会と太衝を刺して、手足が強ばっていたのが、正常に戻り、翌日午前中まで寝て、元気になりました。始めから戻るまで、10分間のことで、とても強烈な印象を受けました。(先生の「瀉血療法について」を拝読しました、中国の俗話の通り「初生牛虎怖がらず」でした。あまり使わないことにします。) 今、娘が小学校1年生で、身辺自立がまだできないことと、言葉が出ないことで、春休みの間、中国に行って、針治療受けながら、私も覚えて、帰って家で、針しようかと考え中で、いろいろ調べているところ、松岡先生のツボ探検隊に出会い、先生がQ&Aで丁寧に説明した文章などいろいろ読んで、私も質問したく、メールしました。 中国の○○にいる妹の同僚の娘が、生まれて10日くらいで、熱を出して、両足が内転して歩けませんでしたが、すぐ、針灸、推拿、中薬いろいろ治療してもらって、1歳半で歩けるようになって、2歳からの癲癇が10歳で治って、現在18歳で、専門学校幼稚園先生コースの勉強をしています。そのお母さんと連絡を取って、いろいろ情報交換したところ、やはり針灸が一番効いたことと癲癇が治ってから、脳の発達が著しく、ゆっくりだけど、勉強も出来るようになったことが分りました。そのお母さんが、昔のことで、針の先生が見つかるかどうか、探してみる、ということで、今待っています。洛陽に姉が住んでいて、福州の陳青医者当てに手紙を出して、そちらの返事も待っているところです。 中国では、針治療は痛いけど、難病に良く効きますから、子供の一生を考えて、親が決めて、毎日子供に針治療させるのは、良くあることです。家の子も最初は泣いたけど、その内慣れて、平気になりました。北京の賀先生の診療所では、私と娘が行く時間帯にも10人くらい治療受けに全国各地から、来ていました。近くの旅館に3ヶ月も6個月も泊まって、毎日子供に治療受けさせる親を、10何人見ました。借金をしてでも、子供を治したい一心で、懸命に治療に通う親たちをみると、私も元気つけられ頑張れました。 賀先生の刺すツボは『針具針法』にも書いてある通り、四神聡、唖門、心兪、通里、照海と斜視があったので、聴宮、臂臑を加えていました。斜視のほうは大分良くなった感じですが、ぼうっとすると斜視になります。興味があることに集中する時は普通ですが、斜視より脳の発達のほうが気になります。松岡先生からみれば、上のツボを続けて刺して良いと思われますか? 「(脳性麻痺児の)中国での鍼治療」上海中医薬大学付属:龍華医院はこの朱先生のお膝元で、他に比べたら臨床例を多く持つ鍼灸医もおられますので、良質な頭皮鍼治療が受けられると思います。 長い文章になって、先生のお時間をいっぱい取ってしまって、ごめんなさい。
松岡先生、 |
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