この項は、一つ横の「ツボを科学する」の続編ですので、     
先にそちらをお読み頂き、以下にお進みください。



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ツボが何故どのような仕組みで体表に現れるのか、の科学的解明は未だ全くされていない。というところで前項を終えました。
ですからこの項は私の思考実験のみの、仮説に過ぎませんが、真実の発見はまず仮説とそれに基づいた実験でしか獲得できない訳ですから、科学は”まず仮説ありき”とおおらかな気持ちでお読み下さい。
鍼灸治療が「パラメディカル」=”医学もどき”と時に称されるのもツボの存在が現在の医学理論とは全く 相容れない”ナンセンス”なものという考えに基づいています。

かたや、現在の医学研究の最先端といえば、細胞核内の遺伝子研究(DNA)が有名ですね。約10万種類はあるという遺伝子情報の解析技術の目ざましい成果が日々報道され注目を集めています。
ならば、この分野の研究が更に飛躍的に進めば、やがてツボの科学的解明もされるのでしょうか?
残念ながらそれはなさそうです。
細胞の、更により微小な世界に分け入って生命の謎を探るというスタンスからはツボ発生のナゾの答えに辿り着きそうにありません。
それには今一つ、生命の謎を探る全く別の切り口が必要なのです。
それは一体どんな考え方なのでしようか。
まずここで、ツボに限らず、人体と何か関係がありぞうでいながら、実は殆ど解っていない現象や事柄を並べてみましょう。

1)季節や気候との関係(気圧との関係)
季節の変わり目に風邪をひきやすい、持病が悪化する。若葉の頃に精神病や自殺者が増える。雨が降る前には古傷や神経痛が痛み出す。等々 季節や気候の変わり目(気圧の変化する時期)は何故か身体に悪影響を与えている。

2)磁力との関係 
磁気ネックレス、ピップエレキバン、
磁気マットレスというのもありますね。
磁気健康グッズは効果があるのか?
磁力は人体に良い影響を与えるものなのか?
もしそうなら何故どのように磁力は身体を変化させるのか?

3)電気との関係
電流を流すと身体はどう変化するのか?
電気と身体はどんな関係にあるのか?
低周波、高周波という電気治療器は身体に効くのか?
それならば電磁波に限っては何故悪いのか?
人体への影響は不明とも言われていますが状況証拠的にはまず黒でしょう。
そしてこれはパソコン使用者にとって大きな問題ですよね。

4)熱との関係                      
赤外線、遠赤外線、お灸や温湿布、温浴法など身体を温める治療法も
沢山あります。
外から適度な熱を加えることは、どうやら弱った体には良いらしいのです。
それに人体自らも外敵(ウイルスや細菌)に対して発熱して戦うのは何故なのでしょうか?

5)押圧(重力)との関係
上記の様々な目に見えない力以外にも直接的に身体に力を加える治療法も沢山あり
効果はこちらの方はかなりはっきりしています。肩たたきに始まり按摩、指圧、鍼も実はここに入ります。身体に適当な重力を加える事は何故良い効果を生み出すのでしょうか? 思いついたままにざっと並べてみましたが、気圧、磁力、電気、熱、重力・・・もうお解りですよね。
これら人体との関係がはっきりしないものを集めてみますと、自然科学の中でも「物理学」のカテゴリーに属するものばかりなのです。
ですから人体との関係が「現在の科学では解明されていない」とされる問題は、実はツボに限らず殆どが生命と、この地球をとりまく物理現象との関係が解明されていないと言い替えるべきなのですね。
「生命物理学」(私が勝手にそう名づけたのですが)地球をめぐる様々な物理現象がどのように地球上に生きる生命体の発生(生殖)や生命活動を決定づけているか?
これが将来の生命研究に最も必要な切り口なのだと思います。
物理学の父といえばニュートンですが、やはり地球に生きる生命に最も大きい影響を与え、その本質を決定づけているのは、この地球の絶対的物理条件である「万有引力=重力」であるはずです。
ですからこの「生命物理学」も結局は生命と重力との研究に尽きると言っても過言ではないと思います。 (「生命力学」と呼ぶべきでしょうか) それ以外の要素は多分、付録みたいなものでしょうね。

現在、NASAがスペースシャトルで行っている実験には向井千秋さんの無重力下におけるメダカの生殖実験とか、この重力と生命に関するものも数多く含まれているようです。ご存知のように自然科学の中でも物理学ほど実験の比重が大きい学問もないわけで、 アルキメデス、ガリレオ..ETC 彼ら大昔の学者の名前も、その行った実験とともに我々の記憶にある事からもお解りだと思います。
これらの実験が 「地球を取り巻くあらゆる物理現象」を排除した空間で行わなければならない、従って「スペースシャトル」になった訳で、極端に言えば電子顕微鏡とコンピューターさえあれば可能な遺伝子研究と比べると、この切り口による研究の未来は21世紀を前にしてもその 実験に要する経済的スケールを考えると暗澹たるものがあります。とても個人レベルでは出来ません。
それだからこそ、今まで謎のまま解明されることがなかったのですね。
生命と物理現象の関係を探る事は、言い換えると「地球」そのものの探求です。

まず第一に一体ぜんたい地球はどんなエネルギーで毎日回転しているのでしょう? 「自転」していることは誰でも知っていますが、どんな仕掛けで「自転」しているのか誰にも分かりません。当然いつの日にその自転が止まるのかも分かりようがありません。

地球は太陽系の惑星ですから、絶対的な存在の「太陽」による影響(放射されるエネルギーなど)は当然としても、身近な月との関係(潮の満ちひきと人の生死に関係があると昔からいわれます。)人間の1日の体内時計は地球の「自転」によるものですし、
「公転」は季節を作ります。地球は太陽系の第3惑星ですが他の惑星の影響もきっとあるでしょうから、「生命物理学」は「天文学」を巻き込みながらその研究のベクトルはどんどん地球外へ飛び出して行くでしょう。
また一方、遺伝子研究も突き詰めると生命の起源、地球の誕生の謎に向かうはずですからこちらも天文学的視野を必要として、研究のベクトルはやはり地球外に出てしまう。
そして二つの生命研究のベクトルは地球を遠く離れた大宇宙で一つに結ばれ生命科学として完成する. という遠大な科学ロマンになりそうです。 

ね!なんか雄大なスケールのお話でしょう!
(アルキメデスやガリレオというよりも、J.ヴェルヌや、R.ブラッドベリの世界かもしれませんが。)

(ちなみにチベット医学では天文学と医学は一体のものとして扱われます。かの地では医者は天文学者を兼ねる事になります)


では話を思いっきり収縮して、もう一度「ツボ」に戻しましょう。
一般にツボは各内臓を始めとする体内と体表との体応点、内部情報を表す窓口、或いは体内諸機管の出先機関のようなものです。 「進化」の過程で生まれたものでしょう。

ツボは人間だけでなく牛、馬、ブタや犬猫などにもあることが世界の多くの獣医師により確かめられています。(動物は人間よりも薬物療法に副作用を起こしやすい等の理由で鍼灸治療の研究が近年目覚しい発展を続けています。)ダーウィンの進化論は「重力」を考慮に入れたとは思えませんが、生命の進化は「重力」を基にした地球上のあらゆる物理条件を絡ませながら行われたはずで、  ツボに関しては私は以下のように仮想しています。

人体(生命体)内部に起こった病変=トラブルは、正常な状態で保っていた体内と体外との物理的均衡状態を変化させてしまいます。 地球という宇宙空間と人体という小宇宙とのバランスの崩れを起こすのです。
(例えば、逆に急激な天候=気圧の変化があった場合、体内は体外の物理条件の変化に追いつくのに苦しんでそれが又、身体の弱い部分の変調を誘発します。)
そして体内のどの部分が起点となって変化を誘発したか、つまり身体のどこが悪くなって体内の物理条件を変えてしまったのかという情報を「ツボ」として体表に現わす仕組みが進化によって生み出されたのではないでしょうか。

そして{ツボ」発生の機転は化学的反応のようなものではなく、やはりその病変固有の物理条件の変化に伴って物理作用により瞬時に発生すると考えます。
従ってこれが私の仮説の結論=まとめ、になるのですが「ツボ」は重力のない状態では (今のようには) 現れない、イコール「ツボ」は重力を基本とした地球の物理条件に生命がより素早く適応するために、又、同時に生命体内の情報を 体外に開示 & リンクするためにその体内の物理作用により発生したに違いない。(だから死んでしまう=生命を失うと「ツボ」は発生せず死体には「ツボ」がないといわれる由縁でしょう。)

...以上が私の「ツボを科学する」の結論です。
(正しくは「ツボを仮学する」というべきだったかな?)                  

ぜひ皆様のご感想や、更なる壮大な仮説、猛反論など聞かせて下さい。

お待ちしています。          

1997・10.23  太陽系第三惑星にて(


ツボ探検隊の表紙に