名前 = りょう 性別 = 男性 age = 20to29 メッセージ = >現在、薬剤師の免許を取り薬局に勤務しながら鍼灸の専門学校へ通っております。 > 自分自身体調などを崩して鍼灸治療を受けたこと等はないのですが鍼灸という世界に魅せられ>Dr から適当に治療を受けている患者様の手助けをしたいと思っております。 > しかしながら学校を卒業しただけではこの世界で通用するわけもなく自分自身どうすべきか悩ん> でおります。 > しっかりと修行をしたのちに開業しようと考えているのですが流派等がいろいろあり何がよくて 何が悪いのかどのような道を進めばよいのかがわかりません。 > よきアドバイスをご教授お願いいたします。> > このような相談は幾度となく受けておられるかと存じますが真剣に悩んでおりますのでよろしくお 願いいたします。 |
(宛先不明でメールが戻ってきましたので、加筆してここに掲載します。) ---------------------------------------------------------- ツボ探検隊の松岡です。 お察しの通り、頂いたご質問は全国の鍼灸学生のほとんど全てと言って良いくらいの人達の最高、最大の悩みではないかと思われます。 その為に沢山の人が様々な勉強会や講習会、鍼灸院を何年も渡り歩いているのが現状でしょう。 ・・と云うことで私の所にも新人達が通って来られているのですが、結論を云えば、少なくとも臨床においては、いかなる流派、何が良いか悪いかではなく、そんな事は実はたいした事ではなくて、要するに人間の身体の仕組み(本質)を自分の感性で読み取れるかどうか、それを地道に訓練して自らの手で獲得するしか無い様に思います。 おそらく、どの流派も何がしかの疾患や症状が改善できるから、存在しているはずで(たぶん・・)、その何某かに関しては例えピンポイントにしても、もしも限りなく100%に近い高い確率で改善に導けたとしたら、それはそれは本当に凄いことなのです。 治療技術の可能性は無限大かもしれませんが、その可能性を模索したとしても、自らが駆使できる技はむしろ有限でいたって「ささやかな」(?)ものです。 あれもこれもと欲張ってみても、数多ある鍼灸師を凌駕するだけの「技術」を身につけることは至難の業で、最初からそれを狙って訓練するのは決して現実的ではありません。(何せ机上の学問では無いので、もちろん机上の訓練も必要なのですが、頭でっかちばかりでも役に立たないのです。) 取り敢えずは何でも結構ですので、今ご自分が興味を抱いている流派なり、治療法を徹底的に数年間は研鑽して下さい。 一つの流派を徹底して学ぶことで見えてくる何かが有るはずですから、先ずはそれを見付けて下さい。 そしてその流派なり、治療法に関して自分の言葉で話せるくらいの何かを発見したら、それはそれで大前進なのですが、おそらくその辺りで、容易には乗り越えられない大きな壁(関所)にもぶつかるでしょう。 その難関と格闘を始める時期を次のステップへ進む合図と判断し、改めて次に学ぶべき新たな流派或いは治療術を必死で模索して下さい。もっともその段階に達していれば、おそらく自分が学ぶべき次なるターゲットは既に明確に成っているはずです。 何一つも自分の言葉で鍼灸を語れない状況、つまり鍼灸に関して自らがきちんとした判断基準を持たない段階から、どの流派を学ぶべきか等と考えても、所詮は無理があります。 一円の頭金も貯めずに借金だけで大きな家を建てようとする感じですね。 大きな家も確かな治療術も、それを得る為にはそれなりの基礎資本(頭金)が必要ですからね。 自分が一段階上がると、踏み台に登った様なもので、前よりも周りがよく見えるようになります。一生の仕事にする覚悟ならば、それぐらいの長いスパンで研鑽に励んで欲しいと思います。 (生命が持つ自己修復エネルギーを操って多くの病気を治す鍼灸医学はリスクが少なく超合理的医療で一生を賭けるに値する、難解ですが非常に面白い医学です。) 云うまでもなく人間の身体は一つです。西洋医学も東洋医学も鍼灸も含めて様々な代替医療も人に起こった「病い」を克服する為に、世界各地の民族が必死で考えた、有りっきたりの知恵を結集したものでしょう。 どの医学も目指している「健康」という名の山頂、ゴールの姿は同じなのですから、どんなに異端な登頂ルートを採ったにしても生命の真理を発見するチャンス、頂上を伺うチャンスは有るはずだと私は思っています。一派を成すだけの医療であれば何を学んでも全くの無駄ということは無いはずで、一見すると回り道でも学ぶ者の意識次第では術者として大きく化けるチャンスとなるというのが私の経験からの感想です。 私の周囲を見渡しても、新米時代から全く同じ治療法をそのまま継続して行っている鍼灸師は先ず居ないでしょう。 登っても登っても山頂が見えない、むしろどんどん遠のいていく、正直に言うと、そんな感じですが、逆に「飽きる」事には無縁です。 壁にぶつかっても逃げないで励むことでしか例え僅かでも着実に腕を上げるのは難しい、やはりこの世界も「王道は無い」みたいですよ。 05.7.11 |
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