★ 仕事としての鍼灸、蜜蜂治療について ★
名前 S.S
性別 女性
age under20
メッセージ
こんにちは。鍼灸大学では鍼治療の実践はほとんど教えてくれないしすぐに鍼灸師としてやっていくのは難しいとHPでおっしゃいましたが、鍼灸師に師事するなりして、技術を磨けばいいのですか?
開業しても、大学で1千万使った費用を取り返せるかどうかはわからないというのは、日本では鍼灸治療の需要は少ないのですか?
私が鍼灸師を目指す理由は、
①老人が増えて、鍼灸の需要が高まり開業しても十分にやっていけそうである。
②蜂の鍼を使って鍼灸治療を行いたい。
③独立できる
以上です。
動機としては鍼灸師として不適切でしょうか。
今高校3年生で進路に悩んで今は「人を救いたい!」という気持ちより、①②③の事を考えて鍼灸大学への進学を考えています。
もし鍼灸師という仕事が私の考えているようなものでないのなら、私はやめたほうが良いのかと考えています。
アドバイスをどうぞ宜しくお願い致します。



こんばんは!

ツボ探検隊です。たぶん多くの鍼灸志望者が同じ様な疑問をお持ちだと思いますので、一つ一つのあなたのご質問にお答えしたいと思います。では!

老人が増えて、鍼灸の需要が高まり開業しても十分にやっていけそうである。
 

老人が増える事は確かですが、その需要が鍼灸に向かう事が意外と少ない。
全国で年々鍼灸専門院が急速に減っている事がそれを証明しています。
世間には按摩、マッサージ、指圧、整体、カイロプラクティック、接骨その他様々な類似療法が有ります。
按摩、指圧、マッサージ、鍼灸、接骨は必ず政府が許可した養成校に数年間通い、卒業後に医学全般を問う国家試験に合格しないと営業許可は与えられません。
一応免許証で一人一人番号が振られ管理されています。
しかし整体、カイロプラクティック、リフレクソロジーなどは法律の管轄外なので養成校に通う必要も公的な免許制度も全く無く、極端に言えば誰でも思いつきで明日にでも開業できます。
つまり野放し状態なのです。
ところが実際にはこの様な野放し業種の方が鍼灸よりも患者さんを多く集めているのです。

これは野放し業種が行う治療の方がいわゆる「つかみ」(即物的快感)が得られやすいからだと思います。
 

「金属の鍼を身体に刺す」これは経験の無い人にとっては治療そのものが痛いというイメージが有るのです。
ですからお年寄りが肩こりや足腰が痛んでも、取り敢えずは心理的抵抗の少ない療法に向かいます。
まずは健康保険の利く外科或いは整形外科に行ってビタミン、栄養剤、痛み止め、湿布薬、電気治療、牽引等の治療を受けるのが普通でしょう。
時には真っ先に接骨院に向かう人も居るでしょう。
ここでも注射や飲み薬以外は整形外科とほぼ同じ様な治療になります。
接骨院では痛む部分に鍼も打って貰えるでしょう。
整形外科、接骨院では健康保険が使えますので、一回の支払いは初診時以外は数百円で済みます。
これらの所で治らなかった人達が次に向かうのがデータ的には整体やカイロ、整骨院の様です。
一般の人達にはこれらの療法が国による免許制度が無く、公認の養成施設も無いので、きちんとした訓練を行った人達かどうかはまったく分からない業種であるという危険性は知りません。
しかし、身体に鍼を刺すのは痛そうですから鍼灸へは抵抗が多いのでしょう。


それともう一つ、鍼灸には実は大きなネックがあります。

鍼灸は緊急に手術を要する病気以外のほとんどの病気に適応する治療法ですが、治癒率を高めるには相当な訓練や才能が必要なことです。
つまり例え奇特な方が真っ先に鍼灸治療に来られたとしても、コストパフォーマンスにおいてメリットのある効果を出せる鍼灸師が少ない事です。
要は一回の治療で患者さん自身に効果をしっかり実感させられる治療を行う者が少ないので、結果的にお金もか掛かり、口コミが広まりません。
その点において整体やカイロは現実に身体に大きく触れますので、一時的に血行が促進されて、直後のスッキリ感は、たいした訓練を受けていない者でも比較的簡単に与えられるのです。
問題の症状が的確に治るかどうかは、まったく別として、これは大きなメリットです。
(一般に力学的に大きく身体に作用する療法は危険も大きい上に「慣れ現象」も早いので、徐々に最初ほどには効かなくなるものです)

片や鍼灸で直後のスッキリ感を何方にも与えるには、有る程度の訓練を積まないと難しいです。
病気を治す可能性は他の療法とは比べものにならないほどですが、それだけの可能性を駆使するのは非常に難しいのです。
私の治療院へ来られる方々の多くは他の鍼灸院からの転院者です。
「何十年も転々と渡り歩いてやっとここに腰を下ろせました」と言って下さる方も多いのです。
他で10年以上も鍼治療を受けていた方は珍しくありません。
初診時にそれらの方々を拝見していつも本気で鍼灸業界の将来を落胆してしまいます。

とても鍼灸を長い間に亘って受けていたとは思えないほど皆さんの具合が悪いのです。
早い話、発症時の様子を伺ってみると、少しも状態は改善されていません。
おそらく同じ鍼灸院に死ぬまで通っても、この方々の症状は治らないだろうと容易に想像が付くほどです。
この様な鍼灸院が多いと言うことは、「鍼灸は効果が無い」と世間で思われても反論の仕様が無い事になります。
廃業に追い込まれる鍼灸院が後を絶たないのも当たり前です。
どんなに「需要」が有っても「需要」に見合った効果を出せる鍼灸師に成ることが如何に難しいかと云うことが、お分かり頂けるでしょうか?



 蜂の鍼を使って鍼灸治療を行いたい。

 

蜂毒を使う治療法は鍼灸よりもむしろ歴史が古いかも知れませんが、しかし、これはもう鍼灸とは別のアイデアになります。

実は私の古くからの知人で姫路の岩本さん(鍼灸師)という方が、もう50年以上も前から蜜蜂治療を専門に行っていました。
(同時にこの蜜蜂でとても美味しい蜂蜜も作っておられて、何十年も愛飲させて頂きました=岩本養蜂場)

この方も亡くなられて随分に成りますが、後継者は居ないようです。

この方から、この治療の詳細をよく聞いていましたが、どちらにしても蜜蜂(蜂毒)を使うと薬物治療になりますから、これはもう鍼灸治療のメリットは全く有りません。

鍼灸のメリットはサイトの表紙でも謳っておりますように、「薬を使わないでほとんどの病気を治す」知恵です。
一切の異物を身体に飲用させないで病気を治す、いわば身体への「無添加治療」ですね。

薬物を体内に入れなくとも、自然のままで生命の持つ自己修復力を高めて病気を治す事に鍼灸の一番の価値が有るはずで、その価値を放棄して、わざわざ適応症も限られる蜂毒を使うのは勿体ないでしょう。

確かに蜂毒以外にもトリカブト(薬品名:附子)、ふぐ毒(薬品名:テトロドトキシン)など自然毒から出来た有名な薬も有りますが、どれも使用上に十分な注意が必要です。

実は蜜蜂でも実際に死者が出て問題になりました。
スズメバチではなく蜜蜂でもショックを起こす人がごく稀にいるのです。
滅多にない事とはいえ毒物を使う治療はやはり気を使いますよ。
もう一つの大きな欠点は薬物ですから「慣れ現象」が早いことです。
つまり身体が慣れて蜂毒がだんだん効かなくなってきます。
鍼灸ももちろんやり方次第では慣れ現象を起こしますが、薬物と違っていくらでも回避策が有るのです。
これらを考慮すると、薬物を一切使わないで病気を治すアイデアの方が蜂毒を使うよりも優れていると私は思いますが如何でしょう?  
脱サラで鍼灸を始められた年配者とか、本格的鍼灸をじっくり学ぶ時間的余裕の無い方などが窮余策として付加価値を高める意味で始められるのならば、ともかくとして、時間がたっぷり有る若い方には修得が困難でも鍼灸の本道を先ず最優先して学んで欲しいと願っています。
 


独立できる

これは確かに出来ます。
就職などにおいて遥かに優位にある理学療法士は開業は普通は出来ませんからね。
しかし別に鍼灸で無くても他の類似療法でも同じように出来ますが、開業に至るまでの時間と費用が大いに違ってきますね。
開業目的だけならば国家試験も免許制度も無く養成校に行く必要も無い整体治療院などが一番開業に至るまでの投資資金が安いでしょう。
整体治療院でバイトしてテクニックを覚えて即開業している方がほとんどであると聞いていますよ。

「人を救いたい!」「難病を何とか治したい」という気持ちよりも「開業して金を稼ぐ仕事」としての成功を望んでおられるので有れば、ことさら鍼灸に特定する必要も無く鍼灸大学も不要でしょう。
現に何の免許も持たず年に数千万円稼いでいる整体やカイロプラクティック療法師は日本中にたくさん居られるそうですが、鍼灸師ではむしろ滅多にいないらしいですよ。

「人を救いたい!」気持ちが山ほど有って、必死に勉強した人でも、十分な鍼灸技術の習得が出来ない人がほとんどなのです。
お越しになる患者さんに鍼を刺すという心理的抵抗をはるかに凌駕するレベルまで効果に満足して帰っていただく技術を身につけることは並大抵では無いのです。
鍼灸が様々な病気治療への可能性を多く持つ分だけノウハウは変幻万化し、可能性を引き出す技術を獲得するには非常に難しい、「山が高い」治療法だと言うことかも知れませんね。

また昨今は鍼灸養成校が需要を無視して乱立しています。
ますます巷に食べられない鍼灸師が氾濫の勢いを増しています。
今から始めるには
並やたいていの覚悟では始められない仕事です。 

ここ10年ほど前から鍼灸師の免許を取っても、鍼灸で食べている人は10人に1人居るか居ないかが現状らしいです。
一説には3%程度(100人に3人!)ではとも言われています。
ほとんどが按摩かマッサージ職で糊口をしのいでいるのです。
これは実際には全ての代替医療を凌駕する治療効果を持つ治療法でも、その技術の修得が難しいとこれほどまでに需要を失うという、非情な現実の証明に他なりません。
残念至極です。



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