★ 後縦靭帯骨化症 (こうじゅうじんたいこっかしょう)★

名前 = M・T
性別 = 男性
age = over50
メッセージ =
7月に左手5指先がしびれるので病院で検査してもらうと難病の後縦靭帯骨化症といわれました。治療は手術ですが成功率5割で再発可能性ありとのことです。体の自然治癒力にたよるしかなさそうですが、鍼灸が効果あるかなとおもって調べています。
貴医院で私の病気が完治できないでしょうか。症状は左右の5指先がしびれる(手先の細かい作業に支障がある)よろしくお願いします。


M・T 様へ
ツボ探険隊の松岡です。
予期せぬ難病の宣告におそらく大変びっくりされた事でしょう。25年前から厚生省特定疾患に指定されている難病ですね。後縦靭帯骨化症は一般に英語の省略語のOPLLと呼ばれています。 タテに並んだ背骨同士を安定させるために骨の内部の後方でピタっとガムテープみたいに貼り付けている繊維性の靭帯が何らかの原因で堅い骨のように変化し始めて太くなり内部の神経、脊髄を圧迫し始める病気です。詳しいメカニズムは不明ですが、日本人(アジア人)に多く遺伝傾向もあり糖尿病の患者さんに発症例が多いです。10万人中に約6人ほど発症していると推定されています。背骨の中でも首の骨(頚椎)に起こるのが大半で年齢性別では50代の男性患者さんが一番多いようです。
お医者様が言われている「手術」と言うのは、骨を縦に割って、丁度ドーナッツの穴を広げるようにして、骨化して太くなった靭帯から脊髄への圧迫を取り除く手術です。しかし、前述しましたように靭帯が骨化するメカニズムや原因が分らない訳ですから、再び骨化が進む事により症状が再発する可能性も高いですね。
現在は手の指だけの障害の様ですが、これが脊髄への圧迫が進んで障害が足に及びスリッパなどが脱げないなど細かい動作が出来なくなったり(巧緻性障害)、歩行障害が現れるまではおそらく主治医の先生も手術は奨めないはずです。首の骨を縦に割る手術ですからけっこうリスク高いですからね。手術以外では保存療法といって少しでも頭の重力が加わって脊髄への圧迫が進まないようにする為に首筋を伸ばす高い襟(カラー)を首に巻きつけたり、頭上に引っ張り上げたりする方法があります。又医学誌に掲載されたレポートによると、時には何故か全く理由も判らず突然骨化が止まって治ってしまう例も有るようですね。

肝心の鍼灸治療ですが、はっきり完治したというレポートは私の知る限り見かけておりません。しかし現に私の治療院にはこの病気の患者さんが何人も通院中ですが、症状は特に悪化せず、しびれなども軽減していますので、少なくとも骨化のスピードが鍼灸治療により遅く成っている事は確かだと思います。
突然変異的に治る例が報告されている訳ですから、鍼灸に限らず自然治癒力を高める目的で何らかの東洋医学的な体質改善治療〔鍼灸、推挙、気功、太極拳、ヨガなど)を行い身体の環境が変わると、現代医学の首を引っ張る治療〔保存療法)よりはこの「突然変異的治癒」を呼び込む可能性は少しは上ではないかと思ったりします。

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