★”ツボの神様”について★

名前 = きょくち
性別 = 女性
age = 30to39
メッセージ =
京都にある伏見稲荷大社に行った時、『ツボの神様』なるものを発見しました。
見た感じ はやはり中国っぽく、3体の石像がまつってありました。
ツボにもやはり神様がいるので しょうか?

何か古典に関係しているのかと思い、調べているのですが分かりません。
もし 御存じならおしえてください。m(_ _)mお願いします。


きょくち 様へ
ご質問の「ツボの神様」については私も生憎と全く判りません。
まず中国では日本のような「八百万の神」=やおよろずのかみ的発想
つまり、 万物に神が宿るという思想は無い様ですから これはどんなものにも神が宿るとする日本の土着信仰に基づいた 日本独自のツボの神様ではないでしょうか。

中国ではご存知のように「素問・霊枢」を記したとされる「黄帝」や 薬を作ったとされる「神農本草経」でも有名な「神農」がいわば神様的存在ですね。

大阪の道修町は昔からのお薬問屋街があって今も田辺製薬とか三共、塩野義その他日本の製薬会社の大手はほとんどここに本社や支社を置いています。この道修町にある少彦名神社(スクナヒコ神社、通称”神農さん”) は毎年冬至に、神農祭を行い全国から漢方医や薬局、薬剤師が集い、 医薬の祖としての神農を祭っています。
お祭りの日に販売される「神農」の象徴である(張子の)虎が付いた福笹が名物で私も貰った事があります。

元は「炎帝」とも呼ばれていたのが民に農耕を教えた事から「神農」となったらしいのですが、 百草をなめて自ら人体実験を行い医薬を作っていたので1日に70種もの毒に当ったと 中国の古書「准南子」(エナンジ)により伝えられいる医薬の神様です。

※日本の医薬の神は 「古事記」や「日本書紀」に記されいる 因幡の白うさぎのお話で有名な"大国主命"(オオクニヌシノミコト)や、 彼を手助けした小人神の"少彦名命"(スクナヒコノミコト)です。 "大国主命"(オオクニヌシノミコト)を祭った神社としては鳥取県の出雲大社が余りにも有名ですが、同じ大国主命を日本の医薬の神様として祭っているのは東京・日本橋本町の薬祖神社です。


このように漢方薬の神様の「神農」の方は 今も国境を超えて日本で大きく祭られているのに 同じく伝説上の人物である「黄帝」を鍼灸師が大々的に祭らないのは ちょっと淋しいかも知れませんね。

そう言えば京都の仁和寺には世界最古の木簡書「黄帝内経」が有って 日本の国宝に指定されているんですから、それこそ欧米を始め中国からも鍼灸医が集まって 全世界的な鍼灸フェスティバルを行っても良いですよね。

もっとも 本場の中国でも、ご存知のように「中医学」は鍼灸よりも薬方(方剤)がメインですから 訪問した中医学病院でどこも飾ってある肖像画は 「傷寒論」「金貴要略」の張仲景、「本草網目」の李時珍、歴史的名医の「扁鵲」(ヘンジャク)など だったように記憶しています。

「ツボの神様」は無かったですよ。

中国では鍼灸医師も薬を処方して両道で治療してるので 「ツボ」だけを抽出して尊ぶ思想は無いのかも知れません。

この辺は日本とは事情がずいぶん違いますね。

それにしても「ツボの神様」は日本的でイイですね。
是非一度見てみたいです。 詳しい場所を教えて下さいませんか?

ちなみに「ツボ」とは人間の体表に僅かに開いた壷状の「穴」です。
「ツボ」は古書でははっきりと全て「穴」と記載されているのですね。
つまりそれ自体が実質を持つ固体ではありません。
例えばトンネルにおける「穴」と同じです。
 トンネルを崩したらこのトンネルに有った「穴」はもうどこにも存在しません。
どんなに長いトンネルでもこれは同じですね。
「ツボ」も実は人間の身体をミンチのように切り刻んだとしたら、もう影も形も無いモノです。
この様な実質を持たない、はっきり言って単なる空気でしかない「穴」にまで神が存在すると考える日本は、森首相の言う通り筋金入りの「神の国」(?)なのかも!
実にユニークな国である事は確かですよね。


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