★ しつこい身体の痛み ★

名前 = @ @
性別 = 男性
age = 20to29
メッセージ =
> 私は大学4年生(22)の男です。 
> 私は大学入学後から、急にいろんな箇所から体の痛みを感じて、この3年間弱いろいろ悩んできました。 まず、あげられるのが首痛と腰痛です。首痛にいたっては、本などをほとんど読むことができないくらい、首を同じ姿勢で5分も維持できないように思います。今、メールを打ってる間にも首と腰 の痛みと戦っているしだいです。
> 地元の病院から大病院にいたるまで、様々な検査を受けてきましたが、レントゲンや血液検査や尿 検査も以上なく、悩みは尽きぬばかりです。
しかし、痛みは今日まで続き、1ヶ月前から柔軟と腰 をいためない腹筋をやって、運動医療に取り組んでいますが、あまり効果は見られません。
> 医者の話や、インターネットなどの情報を自分なりにまとめると、私の問題点は体がかたいこと と、姿勢の悪さ、血流の悪さなどが問題にあげれるように思います。
> これらの自分の特徴と痛みの状況から、私の症状と似ていると思われるのは、痛風と腱鞘炎かと予 想できます。
しかし、どちらかというと、やせすぎな体型であり、痛みも我慢できないほどでない ため、痛風は違うのかともいえます。
けれども、症状はとてもよく似ています。夜まではなんとも ないのですが、朝起きると打ったりひねったりした覚えのないところが、赤くはれ上がるのです。
> 血液検査の結果、リュウマチでもないとのことです。
> 今、腱鞘炎を疑っているのですが、それほど使いすぎた覚えもないので、なんで私の体は痛むのか 途方にくれています。
> 初めてのメールが、このように長くなって申し訳ないのですが、時間があるときにでも、考えられ 得る病気をご存知でしたら、教えていただけると光栄に思います。
> やはりこのまま原因も病名もわからずにこの苦しみと付き合っていくのは耐えれません。もし、私 の努力しだいで治るのであれば、必死に治療したいと思っています。 どうかお力をお貸しください。


ツボ探検隊の松岡です。

最初に返信が大変に遅れた事をお詫びいたします。

「どんな風にご説明すれば受け入れて頂けるだろうか?」と躊躇している間に時が経ってしまいました。

実を申しますとお書きになっている症状は、昨今、私の治療院を訪れる方々に非常に多い症状なのです。

そしてこれらの症状は身体の問題ではなく、心の問題であり、精神的ストレスによるものと云う事実を素直に受け入れて頂かなくては治らないのです。
(もしも体内のどこかの臓器や組織に障害が有れば、3年間もどんな検査にも引っかからず、痛みだけが延々と続くことは考え難いのです。実際にどこかが悪い場合は痛いまま放っておけば年々損傷が進み悪化するので原因が顕著になってくるはずです。)

同様の症状を訴えて来られた方々にお聞きすると整形外科を皮切りに整体、接骨、カイロ等々「病い」の原因を筋肉や骨格に起因すると見立てる療法、食生活に問題があるとする健康食品、サプリメント療法など様々な道を巡った末に来院されているのです。
しかし私の所に来られたと言うことは、即ちどなたも決してそれらの治療では解決を見ていないのです。

確かに詳細に全身をチェックすれば多少の首(頚椎)や背骨(脊椎)の歪みくらいは誰でも 有って当たり前ですし、栄養学のテキスト通りに満遍なくバランスを取った食事をしている人も滅多にいません。

つまり、貴方が訴えている苦痛の本質的な部分はその様なアプローチからでは解決の道に達することが出来ないと云うことを先ず理解して頂きたいのです。

アメリカの医学書には「1ヶ月以上も同じ痛みを訴える患者には‘坑うつ剤’を処方しなさい」と書いてあると友人の医師が教えてくれましたが、実に正しいアドバイスだと思います。

鍼灸の仕事に携わって30年以上を経て、今更ながら感慨深く思う事の一つに、 「痛みは主観的なもの、痛みに対する感受性は心の持ち様にある」という事実が有ります。

今までに中国人、韓国人、アメリカ人、オーストラリア人、イギリス人等々 外国人の治療も行ってきましたが、鍼を刺した時の痛みに対するリアクションが人種によってかなり違います。

詳細は省いて結論を述べますと、「潜在意識に不安感が強い人(=人種)」ほど 身体の痛みに敏感です。

貴方も今までに手や足の一部に意外な「青あざ」やちょっとした「すり傷」などを発見したことは有りませんか? 
「青あざ」が出来るほどの打撲は普通ならば相当に「痛い出来事」だったはずですが、その記憶が無いのは、当時「心」が自分の身体から離れて完全に「外」に向かっていたことを物語っています。(自意識過剰の反対!) しかし、この様なことはおそらく誰もがご存じだと思います。
つまり、「痛み」は「心」が「外」ばかりみている(外向)状態では感じることが少なく、逆に内に向いている(内向、内省)状態の時ほど「痛い」と強く感じるのです。

('心頭滅却すれば火もまた涼し’と同じ意味です。


友人の中国人鍼灸医も日頃から話してくれるのですが、「日本人は鍼が痛いばっかり言うんで、治療しにくい」そうです。

中国鍼は日本鍼の10倍くらい太く、それ相当に痛いのが普通です。

しかし、この治療用の鍼も中国から世界中に輸出されているのですが、日本向けだけが一段と細く「日本仕様」なっています。

今も昔も日本の鍼治療のスローガンは本来ならば最も求められるべきである 「良く効く」という「治療効果」よりも「痛くない治療」に終始して、「主客転倒!」「日本人は変だ!」と 中国人鍼灸医に笑われる事になっています。

話が日本人論に及ぶとまた長くなりますので言及しませんが、 「心=精神状態=が痛みの本質に深く関わっている」と言うことは納得して頂けたでしょうか?

さて肝腎の貴方の痛みですが、やはり「心の問題」として治療されるべきだと思います。少なくともそれがいちばん早く痛みが軽減される方策かと存じます。

私どもでも同じ症状の方々には具体的な痛みを訴える身体各部(頸や肩、背中、腰痛等々)の治療は後回しにして 精神科治療を先に行っていますが、それが痛みの軽減にも最も効を奏しています。

 

例え確かな身体的な不具合が有ったとしても、 ここは整形外科的疾患としてではなく、出来るだけ早く 精神的疾患としての治療を医療機関(心療内科、精神神経科)にてお受けに成られることをお勧めします。

「うつ病」が隠れている可能性が高いと思われます。

この事を素直に受け入れることが如何に難しいかも、 私の所を訪れる患者さん達で経験していますので理解しているつもりですが、 しかしこの事こそが貴方の予後にとって最も大事です。

注※
精神疾患の鍼治療で実績を上げている鍼灸院は日本ではほとんど無いと思われますので、心療内科、精神科の受診をお奨めしました。

                                              05.10.31


Q & A に戻る
ツボ探検隊の表紙に戻る