>名前 = N.M >性別 = 男性 >age = 20to29 >メッセージ = 突然のメール失礼いたします。私はH大学経済学部4年、Nと申します。現在卒業論文で、新事業計画書というものを書こうとしております 自分の興味のある分野の調査もかね、鍼灸業界で何らかの新しい仕組みを考えたいと思っています。現在抱えている疑問についてお答え願えれば幸いです。 1.鍼灸治療の標準化について東洋医学的な考え方になじんでいない人にとっては、針灸というものは若干抵抗の大きいものと思われます。その理由は、鍼灸という業界の標準化が進んでいないことが要因と考えております。具体的には 1.受けている治療が何に効くのか分からない。 2.他の治療院との治療方法の違い。 3.保険がきかないための費用の高さ。 4.治療の効果を数値で表せないものが多い。といったことが考えられます。鍼灸初心者の壁を低くする方法としてどのようなことが出来るとお考えでしょうか。もちろん、標準化は必要ないということも考えられます。 2.鍼灸師の国家資格をとれば、一人前の腕と見なせるのでしょうか。そうでないならば、何をもって一人前の基準となるのでしょうか。 3.東洋医学は未病を直す事に長けているそうですが、それを積極的に推進するための仕組みは存在するのでしょうか。例えば定期検診のようなものは可能なのでしょうか。 以上です。よろしくお願いします。 |
N.M様 どうも返事が遅くなってすみません。 鍼灸医学の標準化については日本鍼灸師会も日常的に力を入れている 部分ですが、その担当の者が現在、貴方の質問に対して回答を作成しております ので 出来上がってくるまでお待ち下さい。 それ以外の質問について、順不同になると思いますがお答えしたいと思います。 まず現在、鍼灸に関する最大のリンク集を持ったホームページは海外の鍼灸 ページであることからも 日本以外の国々の鍼灸研究のスピードとそのレベルの高さは、近年目をみはるも のがあります。 何故か?それは日本においては鍼灸はマッサージと同列の慰安(筋肉や気 分をほぐす)を目的としたものという一般の認識があるか らで、最初から病気を 治す医学として受け入れた諸外国とスタート時点で全く違っているからです。 彼 らは単なる肩こりや腰痛の治療を目的に鍼灸治療を考えません。 難病や慢性病、 アレルギー疾患、薬物中毒治療等、西洋医学では効果が見られない疾病の治療研究が進められています。 中国、や西洋各国と日本では鍼灸の置かれている位置が違うのです。 日本では、特に過去には(これ が日本の鍼灸の特異性なのですが、)鍼灸は按摩と同じ様に視力障害者の 経済的自立の為の手段でしかなかったのです。 (都道府県立盲学校は校内生の鍼灸師 養成所を兼ねています。) 医学としての存在価値はありませんでした。 医学として病気の治療を目的とするためには西洋医学の検査資料の解析も必要です。 (視力障害者にはX線写真などのチェックも難しいでしょう。) 色々とハンディが多すぎます。 従って、鍼灸の標準化的動きに対しては視力障害者団体は何かと異議を唱えています。 この時点で医学の問題では なく福祉の問題に変わるのですね。 この点が日本の鍼灸の諸外国との大きな 相違点です。 後一つ、鍼灸師の国家資格についてです。 鍼灸師国家試験は、筆記テストの約8割程度は一般的西洋医学知識を問うものです。 残りおよそ2割が鍼灸関連(ツボの名前とか)で実技は試験官に直接鍼を指すわけ にはいきませんから、仕草を見せる程度です。 ですから、この試験に合格しても実際の病人の治療が出来るとはいえません。 まず出来ないでしょう。 (何故なら鍼灸師は技術職なのですから本来なら、実技試験が最も大事なはずです) 従って、現在では、同時に柔道整復師の免許を取得して 「整骨院」を開業し保険診療院としてでないと、鍼灸技術のみで鍼灸院を開業しても生計を立てることが難しいのが実状です。 1人前の基準などあるはずはなくて、ただ、鍼はだれが刺しても自然治癒力を喚起して簡単な肩こりや 腰痛はなおせます。 それ以上の本格的な病気や難病となると治せる鍼灸師は滅多にいません。 鍼灸師の国家試験が異常なほど簡単であるために(ほとんどの人が合格)鍼灸師資格を 持った人数だけは多いのですが、治療技術の取得修行(インターン制)などの決まったシステムもないので玉石混淆状態です。 しかし、カイロプラクティックや整体療法などは国家資格も何もない、誰でも自由に 開業出来る、野放し状態ですが、一応、鍼灸師は国家試験免許を提示して開業届けを保健所に出す義務があるだけのけじめはあります。 (鍼灸院は厚生省の管理下に置かれています。) 定期検診については、集団的な意味でお尋ねでしょうか? 個人的には既に当院にもその目的で来られる方は沢山おられますし、おそらく他の治療院でもその様な方は多いでしょう。 一般的に医師は東洋医学的診断法を知りませんが、(医師国家試験においては東洋医 学についての知識は問われませんので。) 鍼灸師はその国家試験においても、西洋医学的知識を主に試されていることでもあり、一応両方の医学の知識がありますので、研鑽を積んだ鍼灸師であれば、両方の医学に通じた本当の意味での身近なホームドクターに成りうると考えます。 「良導絡ノイロメーター」という器具があります。 手足の12のツボを流れる電 流量の平均偏差値から上下のあるツボの内臓対応をおこない健康状態を鍼灸医学 的に測定する器具です。 日本人医師 中谷良雄氏の発明品で、世界中に売れている希有な医療器具ですが 12のツボの測定ポイントが測定者によって個人差もあっ て微妙ですし、それのみでの診断は常に確度に問題が残るはずです。 が今のところ、数値的に東洋医学的に病気を診断すると言われている唯一の機械 であることは確かです。 そして、もしこのノイロメーターがデータの精度をより高め、より改良を重ねたならば、ある程度は集団定期検診に使えるでしょうね。 こんなところで如何でしょうか? まだ他に擬問点があればメールして下さい。 |
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