★ 炎症性疾患と鍼灸 ★

名前 = ヤマモト
性別 = 男性
age = 30to39
メッセージ =
> いつもたのしく拝見させてもらっています。
> ところで鍼というのは炎症性のものに関しては即効性はないのでしょうか?
> たとえば筋肉痛を起こしてすぐとかはどうなのでしょうか>
> あと痛みを少しの間でも麻痺させるようなツボはあるのでしょうか?
> よろしくおねがいします。


こんばんは、ツボ探検隊の松岡です。
炎症性疾患にも鍼は良く効きますよ。特に効果が目に見える皮膚の細菌感染による化膿(炎症性皮膚疾患)における鍼の即効性は経験された方はどなたも目を丸くして驚かれるほどです。

つい先日も往診に行ったお宅で治療後に談笑していると、このお宅の娘婿さんが目を大きく腫らした恐ろしい形相でやってきました。
「麦粒腫」、いわゆる「ものもらい」「目ばちこ」ですね。
余りの形相に、「鍼で治して上げましょう」と持ちかけましたが、「イイです、イイです。あした目医者で切開してもらう予定ですから」とやんわりお断りになりました。
「でも鍼なら明日まで待たなくても、今ココで即効で治りますよ!」と半信半疑のこの方に半ば強引に鍼を打たせて貰いました。
治療開始後10分もしない内に腫れはほとんど引いていました。
その後も秒単位で腫れが引いていき、30分後にはもう「目ばちこ」は跡形もありません。
「まるで手品やなぁ~」周りで見ていたご家族の方々も本当にビックリしていました。
「さすがー」などお褒めの言葉も頂きましたが、実はこれは私の技術が優れていた訳ではなく、薄い「瞼まぶた」に沿って鍼を刺せる人ならば誰が行ってもほぼ同じ効果が出るのです。もちろん「目ばちこ」でなくても鍼の炎症を鎮める効果(消炎効果)は特筆モノです。
もっとも一口に「炎症」と言いましても、「目ばちこ」の様に皮膚の細菌感染もあれば、クローン病、潰瘍性大腸炎と言った最近増えている難病の炎症性腸疾患(自己免疫疾患)も有ります。炎症を起こす自己免疫疾患は鍼でもやはり超難病で、何かの拍子に治ってしまったケースは有っても普遍的な特効を示すツボの配穴は中国でも未だ発見されていないようです。

つまり炎症と言いましてもピンからキリまで非常に幅広い訳ですが、赤く腫れて痛がって鍼灸院に来られるのはやはり「足首の捻挫」が多くて「目ばちこ」で来た人はいませんね。

足の捻挫は普通は「足をくじく」って言いますね。
スポーツを除けば、自転車でこけた時、道路の小さな窪みに足を取られたり、階段を踏みはずす、踏み台から着地した時などに足先が内側にくねって転んで起きてしまいます。すると足首周りの靱帯が熱を持って発赤し腫れ上がる(炎症)ので、整形外科などに行くと先ず、冷湿布、つまりアイシングをしますが、患部に鍼を打つと発赤や腫れは秒単位で減少しますので、回復が非常に早いです。またこの捻挫の「後遺症」で鍼治療に来られる方も多いのです。
生まれてから一度も捻挫を経験していない人の方が珍しいのではないでしょうか。

ご質問の筋肉痛には鍼は捻挫よりも即効があり、「スポーツ鍼灸」というカテゴリーも出来ています。
私の師であった故中谷良雄は1964年の「東京オリンピック」で男子体操の鉄棒で金メダリストとなった小野喬選手の為に当時オリンピック会場で付きっきりで、鍼治療を行い、選手の金メダル獲得に貢献しました。

オリンピック直前に肩を損傷してしまった小野選手はそれまでの練習で薬の痛み止めは既に効なくなっていました。
また強い麻酔を使っては痛みは止められても今度は運動能力が劣ってしまう為に金メダルが難しくなると思われました。結局は痛みを止めても尚かつ金メダルが獲れる鉄棒演技を行う事が出来る、運動能力が減退しないという目的に叶う手段は鍼治療以外には無かったのです。
当時はどの新聞紙上にも小野選手が試合中にも肩に鍼を受けている写真が掲載されていました。この鍼治療は打った鍼に電流を流す中谷氏自らが開発し、良導絡と呼んだ「電気鍼」でした。これは鍼治療の特性を非常によく示した出来事だったと思っています。

> たとえば筋肉痛を起こしてすぐとかはどうなのでしょうか
もちろんOKです。但しその即効レベルは鍼を打つ者の技術力によって違ってくるでしょう。その為に米国で学んだトレーナー出身の白石氏のようなスポーツ選手専門の鍼灸師もおられるのです。

> あと痛みを少しの間でも麻痺させるようなツボはあるのでしょうか?

これには高麗手指鍼のツボが即効があり、素人にも出来てピッタリです。
以下のページをご覧下さい。
http://www.shinkyu.com/syushi/syushi0.html


06.01.28

担当;松岡佳余子   


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