★オカルトと鍼灸★

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性別 = 女性
age = 20to29
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初めまして! ***鍼灸学校1年生です。 中国の鍼灸施設の情報は珍しいので特に楽しませていただいています。 ところで先生が日本の鍼灸師に望んでいるのはどんな事ですか? 変な質問ですが、気になっています。差し支えなかったらお願いします。


masami様へ
ずいぶん古い話になりますが、かれこれ25年以上も前のことです。 アメリカ:オレゴン州の州都ポートランドにある州立オレゴン大学で鍼灸の講義を行いました。(オレゴン州は北にマリナーズでおなじみのシアトルのあるワシントン州があり。南にはカリフォルニア州と接したアメリカ西海岸沿いの日本にも馴染み多い土地柄です)
通訳は同大学で日本文学を教えている日本人講師の方でした。(もう、すっかり名前も忘れています)
集まった学生は100人ほどでしたが、2時間ほどの講義は何とも辛いものでした。盛り上がったのは、わずかに行った実技のみで大半は当方の講義内容と聴衆者である学生との興味が一致せず、すれ違いのままの空しい時間と成ってしまいました。
「すれ違い」度数を例えると、ベジタリアンにステーキの美味しい焼き方を教えようとするくらいのとんでも無いミスマッチでした。 
後からの質問の時間で分かったことですが、つまり、集まった学生はみなさん一様に鍼治療を心霊治療などのオカルト治療の延長線上にあるものと考えていたのです。「エクソシスト(悪魔払い師)との違いは?」などと訊く学生もいました。
(確かに「気功治療」は「心霊術」と似通っているとは言えますが、鍼灸とは別物です。)
当然ながら科学嫌い、科学オンチ(?)の「アンチ理数系」のロマン派、オカルト好きが集合していたのでした。
私どもの講義目的は「鍼灸医学は長い中国の歴史の中で「事実」の積み重ねとして出来上がったという意味で「現代科学」に匹敵する優れた要素を持ち、現代科学の発展に新しい視点を提供する貴重な学問である」と云う、いたって建設的で真面目(?)なものでしたから電気の話から始めた講義内容はオカルト映画好きの彼らにとって興味の湧き様が無かったのでしょう。

通訳は日本文学の先生で理系の英単語をご存じ無く、当方の英語力でも彼の誤訳ばかりが気に掛かり、イライラが積もって後半は通訳を断って勝手に講義を進めてしまいました。今にして思えば若気の至りで通訳をお願いした先生には失礼なことをしてしまいました。
もっともあくまでこれは25年以上も前のことですが、実は2年前にもヨーロッパ(フランス、ベルギー、ドイツ)で同じ体験をしたのです。彼の地で鍼灸を行う人たちとの交流で分かった事は相当数の鍼灸関係者はやはり「オカルト好き」の延長線上に有り、私どもとの本来の意味での「対話」が成り立ちませんでした。共通語であるはずの「鍼灸」に対する認識の次元が違いすぎるのです。それでようやく、以前から疑問に思っていたヨーロッパの鍼灸研究論文に垣間見られる観念的で膠着した思考に縛られた研究姿勢に納得がいったのです。
医学は未だ謎だらけの「生命」を相手にする学問ですから、日進月歩、非常にアグレッシブな学問で有るはずです。いつもニュートラル、何者にも縛られずフットワークを軽くしないと、どんどん変貌し続ける「常識」から乖離するばかりで古典医学の徒は「語る言葉」(共通語)を急速に失ってしまいます。
実は中国に行っても同様の感慨を抱くことがままあります。中医学理論はあくまで生命(活動)を語る「方便」に過ぎない事を知りつつ、敢えてそれをベースに観察を進める作業(治療)に必要な「冷徹な理性」を感じさせる鍼灸医になかなか出会えません。 結果として与えられるであろう「功名」或いは「金銭」に対しての「好奇心」(!)の方がより強く行動を支配している鍼灸医が多い感じが否めません。
「人間」の行動の発露としてはこの方が「健全」なのでしょうが、医師による臨床と薬学者、分子生物学者などによる新薬の開発、薬理作用の実験研究と役割分担により結果としてスクリーニングが行われ易い環境で発展する現代医学と違って、薬を使わない鍼灸医学は臨床と研究は同じ土俵で同じスタッフ、鍼灸師により行われますから、研究はどうしても当事者の心持ち次第(独りよがり)に成り易く真の発展を阻害しがちです。 自分のことを棚に上げて云うのも何ですが、改革解放後の拝金主義の台頭する鍼灸の本場中国もその意味で気がかりな現場です。

歴史や固定観念に縛られない新しい生命科学の一端としての鍼灸研究は、敢えて云うならば時にはストイックなまでの職人気質をも持ち合わせる人種でもある日本人にこそ相応しいのではないか? 
「人材」は何処も常に「枯渇」しているのが「世の常」ですが、近頃はどうもそんな気がしています。



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