瀋陽市中医院は瀋陽市鍼灸研究所を兼ね、診療活動と研究機関との両方を担っています。遼寧省など東北地方は昔から鍼灸治療の本場とも言える地域でも有り、治療.・研究ともに多彩且つ意欲的に行われています。(同じ中国でも広東、福建省など南部地方は生薬=漢方薬治療が盛んです。)中国では病院にも機能や設備、規模に応じて公的なランク付け(階級)が有り、何処も医療機関の競争が激しく生き残りに掛けた様々な工夫が見られるのですが、この医院も365日年中無休二十四時間診療体制を大きくアピールしていました。中でも針灸科は様々な疾患による患者さんでたいそう賑わっていました。中国では何処の病院でも針灸科はごく普通に存在しますが、鍼灸自体がどうしても技術格差がはっきり出てしまう治療法の為に実はこの医院のように患者さんで賑わっている所はごくごく限られています。(もちろんこれはいずこも同じですが・・。)


広い目抜き通りに面した表玄関には真新しい乗用車がびっしりと並んでNEW中国にしっかりと息づいている「伝統医学」を象徴しているようです。 365日24時間診療を大きく謳っています。小さくて見づらいのですが、玄関には病院のランクや顕彰を示す様々な金色のプレートが掲げられて病院のステイタスを誇示しています。
院内案内図です。珍しい点を探せば、薬剤局が「西薬局」(西洋医学の薬を出す薬局)「草薬局」(生薬=漢方薬局)に別れていること。診療科目:救急室、眼科、耳鼻咽喉科、外科、放射線科、骨科(整形外科)、鍼灸科、按摩科、腫瘤科、口腔科、てんかん科、内科肺系科、内科腎系科、内科心系科、内科脳系科、内分泌科、胃腸科、老年病科、肛門科、中風外来、物理療法科、婦人科、小児科、皮膚科、小針刀科(刀のような針を使う治療)白斑病科、男性科、性病外来等々が表示されています。 「針灸中心門診」とは日本風に表現すると「針灸センター外来」に成ります。当日は相当に混雑していました。「中心」という語彙は中国では非常に多く見られます。病院は「中心医院」の名が最も多く、飲食店では「美食中心」、化粧品店は「美容中心」「化粧中心」、銭湯は「洗浴中心」と云った具合です。
このセンターが得意とする主な治療項目が示されています。
①椎間板ヘルニア、頚椎、腰椎症、リューマチ、高血圧
面瘍(顔面神経麻痺)、脳血栓、脳出血、虚血性脳疾患
③老年性前立腺肥大、結腸炎、高脂血症、高粘血症、近視、頭痛 ④各種疑難雑症
(各種未解明難病)
瀋陽市中医院針灸研究所主任、でもある候昇魁教授=針灸教授です。温厚なお人柄と慎重で丁寧な施術が印象に残りました。技術的な裏付けがないと看板だけではこれだけ多くの患者さんが集まりません。多忙な中で当方の質問に一つ一つ誠実なお答えを頂けた事に感謝とともに非常に恐縮致しました。
この中医院:研究所で開発した「中風治療機」です。脳卒中後遺症による半身不随、失語などの症状に使っていました。日本でもごく普通に使われている電気針治療器との相違点は特に見あたりませんでした。 左の治療器を使って治療中の患者さんです。右脳内出血による左半身不随により治療を受けています。従って頭部は右、背中、四肢は左に針を打ち頭部の鍼のみ写真の様に電流を流していました。
頭のツボの位置に電極の差し込み口を作ったベルトを巻き、頭部のツボに直接的に通電する治療も行っていました。この患者さんは百会(ひゃくえ)に通電中です。日本でもよく有る治療ですが、一般に中国の電気治療はどこも日本に比べると驚くほど強い電流を流しているのです。怖いモノ見たさで体験してみたかったのですが余りに混んでいて遠慮しました。
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