次の患者さんは7歳の男の子。脳性麻痺で生まれてから7年間歩けない状態から黄医師の治療開始後5ケ月で立って歩けるようになったそうです。歩けるようになったばかりか当然ながら知的能力も飛躍的に上がったとお母さんが申されていました。一人っ子政策の中国ですから、この子も一人っ子でお母さんの熱意がこの医師との出会いを生んだのでしょう。アメリカ、フィラデルフィアには脳性マヒ治療で有名なドーマン博士の研究所がありますが、どんなに我が子が可愛くてもこの博士のハードなプログラムをこなすことは並の人間には出来ることではありません。多くの日本人が渡米し博士の元を訪れながらも挫折しているのが現状です。黄医師の治療は頭部から全身の筋肉をツボを利用しながら刺激し血行を促して筋肉を増強し、自己回復力を鼓舞させる至って素朴な方法ですが、副作用が有るとも思えませんからドーマン法にサジを投げた方も是非とも試みて頂きたいと思います。その為に少し多めに写真を載せました。 治療方法は「推掌」(すいな)で経絡やツボを用いて強い刺激で按摩や指圧をする治療法です。実際の医師の行った順序に従っています。按摩の名手に頼んだならばこの写真と解説で真似が出来るのではないでしょうか。 |
この治療ではあくまで痛みのない程度の刺激が大事です。この男の子は後でとても気持ちが良くなるので治療が好きだと言っているそうです。 | まず前頭部、眉間の「印堂」から生え際「上星」辺りまで正中線を親指で数分間揉みさすります。これは額を揉みほぐし血行を良くして前頭葉の細胞活性化を促す目的で行われています。精神疾患治療の場合も同じ目的でこの部分のツボを重要視します。 |
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なんか気持ちよさそうですよ。 | 前頭部を終えるとくるっと回転させてうつむけにします。 | |
今度は頭部正中線(督脈)から後頭部に向けて指先で揉んでいます。 | 角度を変えて見ています。鍼灸のツボ的に言えば頭蓋骨の縫合に関係なく不連続に凹んだ部分(血行に問題があると想定される)の刺激を特に重要視しているはずです。 | |
頭部を終えるとそのまま頚椎~背骨を両側から摘むように尾骨まで揉んでいます。刺激効果が脊髄に及ぶことを狙っています。 | 尾骨まで終えると今度は手背を転がす按摩を背中全体~お尻まで行っています。背中全体の筋肉を解している感じです。拘縮しやすい部分の筋肉を特に念を入れて解していました。 | |
次は腰から下半身の摘みです。臀部、両足の先まで満遍なく。 安定歩行には関節の柔軟性(周囲の筋力)が必須です。各関節の周囲は特に念入りに揉みほぐしています。 |
背中の治療を後ろから撮しています。頭部から始まり足先で終えます。この治療ではお腹部分は行いません。(回復が進めば前部(腹部)正中線上の治療も必要になってくるはずですが) 現況では上向きに寝るのはあくまで額の按摩の為だけです。治療時間は15分程度でしたが、この時間は体力に応じて設定されるべきでしょう。はじめて行う場合は10分以内が相応しいと思います。 | |
治療後は我々に歩いて見せてくれました。お母さんによると歩ける様になったと同時に声も大きくなり心身ともに大変元気な子に変わったそうです。 | 歩けるように成った記念に買って貰ったご自慢の電気自動車を運転して見せてくれました。この車は10万円ほどしたそうで中国の平均年収に近い値段です。この子が歩いた事への両親の喜び様が察せられます。今後の治療は腕や手の動きをどれだけ回復、発達させられるかでしょうが、脊髄周辺の筋肉の働きが向上することは脳へもプラス変化がフィードバックされ時間は掛かるでしょうが 脳の損傷部の修復にも希望が持てると思います。 | |
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