ここは薬方の尚教授と鍼灸の顧教授の両中医師による中医診療所ですが、サイトの趣旨から、ここでは鍼灸医師:顧先生の紹介を致します。顧先生は遼寧中医大学の元教授で、著作もある学識高い鍼灸医師ですが、同時に新たな治療機の開発にも長年携わっておられる「科学者」(ご本人の弁)でもあります。特に中国に古来より行われている「火針治療」を簡便に行える「電気火針治療器」を開発され、日々の診療に使っておられます。

以下の写真を見ていただくとお分かりかと思いますが、火針は熱い上に治療後に火傷の小さな「跡」が残ります。もちろん日にちが経てば治ってしまうわけですが、「火針治療」はこの大きなリスクにもメゲない長所を持っています。それは一般の鍼灸治療では効果を得ることが困難な「自己免疫疾患」(慢性関節リュウマチ、膠原病、筋萎縮症等々)「免疫不全」、「悪性腫瘍」「慢性の皮膚病」など「難病」に大きな効果をもたらすのです。もう一つの大きな特徴は治療回数が非常に少なくて済む事でしょう。特に皮膚病ではたった一回の治療で治る場合も少なくないそうです。
同じ皮膚を焼く(!)治療法でも「お灸」と違って焼く温度が非常に高い事(約800度以上らしい)で、身体に免疫上の異変を引き起こし、患者さんに元々あった免疫異常状態を逆に一気に正してしまう可能性が高いのだと思われます。 
判り易く例えると、(マイナス)×(マイナス)=(プラス) に変化する感じでしょうか。 「しゃっくり」を止めようと大声でビックリさせる方法と似ていますね。 治療回数がたった1回で済む可能性を多く持つこともこの様な治療スタンスを知ると納得いただけるのではないでしょうか。
一般的な医学治療は不足分、欠損分を補う「足し算」、時には過剰な部分を鎮める「引き算」の加減法的治療が主です。この場合は徐々にプラマイゼロに近づける為に難病ほどそれなりの治療回数が必要ですが、「火針」は「補う」「加える」のではなく、身体上に故意に「異変」を起こして一気に身体を変える「掛け算」(?)の治療といった違いがあります。「ホメオパシー」を思いっきり過激にした感じと言っても良いですね。 該当患者を集めて大掛かりな 
「科学的」検証を積めば特に現代医学では治療の決め手を持たない「免疫不全疾患」の治療に大いなる貢献をするに違いありません。もしもこれを確立することが出来れば「ノーベル賞」モノではないでしょうか? 

今回の沈陽市(遼寧省の省都)の名医探訪に関しては顧教授に半年も前から医師の選択、取材許可等々大変なお世話になりました。その上に3日間も「休診」して頂き我々にご同行を願いました。全てボランティアです。本当に有難うございました。


沈陽市内中心部の大きな並木通りに面した診療所は
「うなぎ」の寝床式の奥行きの長い建物です。
左が火針の顧悦善教授、右が薬方の中医師:尚亞平教授です。尚先生は「中西医新薬開発研究院の院長でもあります。
以下の写真集は左側の顧教授の治療報告です。
診療所内は如何にもといった風に「生薬」(漢方薬)の匂いで充満していました。一番奥が顧教授の診察室です。 顧悦善教授は15年前に富山薬科大学から招待されて来日しています。不思議に私は彼には「日本人」の様な親しみを抱きました。無欲っぽい枯れた雰囲気の先生です。
顧教授が開発した「電気火針」です。治療器には「electronic fire needle」 とあります。そのまんまのネーミングです。 この先端が通電により高温に成ります。先端部分の形状は二種類の太さがあり,皮膚への刺激を少なくする為に常に改良を続けているそうです。。皮膚に針が当たると引っ込むように「バネ式」になっています
老人性の「イボ」取り中です。ピンセットで「イボ」をつまんで、チカッと一秒ほど焼き切ります。他の皮膚病としては「ニキビ」「ホクロ」「ヘルペス」痔核」「湿しん」などの患者さんが多いそうです。意外な事に傷跡は日にちが経つと全然残らないと言っていました。 焼いた跡は小さな火傷として残っています。この跡に化膿止めの軟膏を塗り、綿花を当てた上に絆創膏で貼り止めます。この治療は治療後のフォローが大事ですね。右の写真は通電で赤くなった先端部です。先端の針は皮膚に刺さるのではなく、皮膚に触れた途端にバネで内部に引っ込む様になっています。
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