★卵巣嚢腫★

> 名前 = K
> 性別 = 女性
> age = 30to39
> メッセージ =
> こんにちは。初めてメールさせていただきます。鍼灸で卵巣嚢腫を治療することはできますか?
> 姉が卵巣嚢腫で開腹手術を勧められております。40代後半で子宮は3年前に筋腫で全摘してま す。
卵巣嚢腫は12cm×6cmの大きさです。腫瘍マーカは正常値です。痛みなど自覚症状は> ありません。それ故、開腹手術後の体力の回復や更年期の症状を懸念し、避けれるものなら手術 はしたくないと思っています。ご多忙中とは存じますがご意見いただけましたら有り難く思いま す。


ツボ探検隊の松岡です。
早速ですが、お尋ねの卵巣嚢腫の件ですが、卵巣ってのは実に様々な腫瘍を形成しやすい組織なので、その腫瘍の中にどの様なモノが詰まっているかによって鍼灸の適応かどうかが違って来ると思われます。

メールからではどの様に肥大増殖して嚢腫となっているかは不明ですが体細胞などが増殖して「塊かたまり」となっている卵巣嚢腫の場合は一種の奇形ともいうべきもので、鍼灸でもどうにも成りません。
早い話、生まれる前から皮膚などを形成する、卵巣にとっては異細胞が卵巣内に紛れ込んでおり、赤ん坊の時から秘かに年々成長し続けていたものです。
この場合は髪の毛や普通の皮膚なども成長と共に卵巣内に出来上がっています。高齢者では稀にガン化する可能性も指摘されていますので腫瘍の大きさやお姉さまのご年齢から察するに速やかに手術されるのが賢明ではないかと存じます。
このタイプは一般に若年層に多い卵巣嚢腫で妊娠時に発見されたり、子宮と繋がっている靱帯の所で大きくなった卵巣腫瘍がねじれる「茎捻転」で救急車の出動となる事でも有名です。
(「卵巣嚢腫による茎捻転」は激腹痛の一症例として医療関係者は必ず学習します。「茎捻転」は一般に緊急手術です。)

もう一方の卵巣嚢腫はいわゆるホルモンの影響などで分泌物と言いますか、液状成分が溜まって卵巣が膨れ上がっている嚢腫で、これは一般に「嚢胞」と呼ばれていますが、この場合は前述したタイプに比べると鍼灸の適応範囲であろうかと思われますが、しかし鍼灸治療を行う場合も分泌物が確実に体内に吸収されて卵巣の収縮が確実に始まっているか否かを確認する為の検査を怠らない必要があります。
(つまり病院にもきっちり検査に通う事になります)

鍼灸治療を行う場合は溜まっている分泌物の吸収を促進する為に下腹部:卵巣子宮など婦人生殖器内の疎通を改善する治療を進めることになります。いわゆる「血の道」とか「お血」治療と言うことになります。
中でも一番有名なツボは「血海」というツボで子宮卵巣部位の血液の滞りを外すツボです。本来の鍼灸治療では実際に脈診、腹診を行い腹部のツボ、三陰交、足の三里、豊隆なども加えることに成ると思いますが、ご自分でこれらのツボを取ることは至難です。

それで先ず「血海」のツボだけでもお試し下さい。
液体成分が溜まって腫れている卵巣嚢腫と分かっている場合は「ダメもと」でご自分でココに毎日お灸(薬局でせんねん灸などを買って下さい)をすえるのも一計です。
ツボが「命中」してお灸が効けば嚢胞は縮まるはずですので10日もすえれば効果の有無が分かります。
効果がなければ更年期を控えたどんな病気にも発展しやすい年齢から察するに、やはり手術をされるのが賢明ではないかと思います。
もちろんご近所に信頼できる鍼灸院が有れば話は別で、しっかり通って頂くのはもっと良案ですが・・。


血海
膝蓋骨の内側の上縁から上に上がった約2寸(だいたい5cm)の所。膝を曲げてつぼを取ります。適応する症状が有ればこのツボは押すと刃物で切られた様に鋭い痛みが出るはずです。
■ツボの取り方:
先ずツボの付近を押さえながらツボを探します。
液体成分が溜まっているタイプの嚢腫の場合はこのツボを押すと悲鳴を上げるほど痛いはずです。この様に痛い所を探して見つかったらそこにマジックで印を付けます。左右の一方の足が特に痛いはずですが、念のために両側にすえて下さい。この押すと悲鳴を上げるほど痛むポイントにせんねん灸(類似品でも良い)を少なくとも3回繰り返し(同じ位置に)すえます。最初のせんねん灸が燃え尽きてぜんぜん熱くなくなったら取り除いて新たなせんねん灸を同じ所に置いて再び着火します。もしも水膨れになったら消毒をして薬剤を塗り、感染に気を付けて下さい。
 
 

ツボ探検隊の表紙へ