TFT(thought field therapy)治療法について
Roger J. Callahan, PhD
20年前にアメリカの精神科医・ロジャー.キャラハン氏が 針灸のツボを頭部から順に指で叩くことによって薬や一般的な心理療法では効果が現れ無かった対人恐怖症、各種依存症、心的外傷、パニック発作、抑うつ、などの症例で症状の改善又は消失が可能であることを発見しました。 
この方法では ごく短時間で心理的苦痛、不安、頭痛、頭重、抑うつ感情、不眠、自律神経失調などの諸症状に明らかな改善を得ることが出来るのです。 

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ツボは全身に400近くありますが実はその多くは精神的状態を治改善するツボでもあります。
なぜならば中国医学は「気」の医学でも有りますから(身体が病むことを”気”が病む=”病気”と言うように)、西洋医学とは違って「気」の乱れに対する治療に関しては格別なエネルギーを払っている医学でもあるのですね。
実は西洋医学ではこの中国医学的な「気」に相当する言葉が有りません。
英語では一応「気」を単に"qi-energy"とか"vaital energy"とか訳していますが、どれも「気」本来の意味の一部分でしかありませんね。言葉が無いということはつまりは「気」という概念自体がその医学には存在しないということですから、「気」の乱れによる精神症状には中国医学のツボを利用したTFT療法に高い効果があるのも当たり前かも知れません。

しかし、針灸師である私どもは実際に全身のツボを使って精神症状を治していますので、ツボ的にはTFT療法のツボよりももっともっと有効なツボが有る事を日常の臨床経験から知っています。そこで日々の臨床経験から新たにツボを選び直し、同時に気功法の呼吸を行うことによって「気力」のみならず「体力」も付けることを目標にして新たなTFT治療法を考案しました。

前述した精神症状が長引いている人ほど、体力的な衰えが見られ”老化現象”的な身体上の変化が現れます。 もっともこの変化は症状が改善するとすぐにあっさりと消滅しますので、本物の老化現象とはその点で大きく違うのですが・。 丹田呼吸を同時に行うことによって、心と身体の両面からのすばやい回復を促します。
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この治療法はツボの場所を覚えるのが少し面倒かもしれませんが、ご自分で何処ででも場所を選ばず出来ますし第一にお金もかからず副作用もありませんから、ぜひ挑戦してみてください。

 ★ツボ探検隊風タッピング療法のオリジナルのTFT療法との相違点★
オリジナルのTFT療法で用いられているツボ群は必ずしも精神科治療に有効なツボばかりではありません。 日常の臨床で精神科針灸治療を行っている私どもの治療院で実際に高い効果のあったツボを厳選しています。
アメリカで開発された本来のTFT療法は二本指でツボを叩くのですが、私は三本指でのタッピングを提唱します。その理由は A)アメリカ人と日本人の筋力の差を考えると日本人場合は二本指ではツボへの刺激が不足です。私の経験から得た感触ではアメリカ人男性(白人)は言わずもがなですが、アメリカ人女性の平均的筋力も日本人男性の平均を上回っていると思います。 B)既に精神科を受診している方々では抗不安剤、精神安定剤等の副作用から筋力が著しく低下している。 以上の理由で三本指以上にしないと本来の刺激量が得られないと思われます。
タッピングは元来の方法と同じですが、「気功」=breathing exerciseの訓練で行う丹田(へその下5センチ程のところ)呼吸法を取り入れます。 この事でガス交換の効率を高め全身のエネルギー代謝の改善を図ります。
気功療法的イメージングを加えます
問題点を意識しながらツボへのタッピングを行った結果、少しでも状況の改善が見られた場合はその後は徐々に問題点のイメージを 「状況は改善している」 から 「既に状況は改善した」 という「完了形」に持っていきながらタッピングを行います。  つまり、最初に問題点を直視しながらのタッピングを行った後で改善が見られた場合はより肯定的イメージング=「自己暗示」をしかけながらのタッピングに移行していきます。

◆準備運動◆
★腹式呼吸の練習★
まず最初にキャンドルを吹き消す様に口を尖らせて息をすっかり吐き切って下さい。 次に息を吸うときは下腹を膨らませながら鼻から吸います。 下腹を膨らませると横隔膜が下に降りて胸腔が広がるので肺が大きく膨らみ深い呼吸が出来ます。 その後前述のようにして息を吐くときは下腹がきゅっと引き締まる感じになります。 最初はこの下腹を膨らませて鼻から息を吸うことは難しいので数分間練習してください。
★★タッピングするツボの場所を確認~10ヶ所あります★★
タッピングする部位①から⑩までを確認する。 出来れば各部位を数回ずつ叩いてみる。①~⑥⑩は3本或いは親指を除いた4本指で叩く。⑦⑧は手同士を叩き合わせる。 ⑨はこぶしを握り小指の根元にある骨の角で叩いて下さい
叩き方は人差し指から薬指又は小指までの3~4本の指を軽く内側に丸めて指と手首の力を抜きスナップを利かせる感じで打ち叩きます。

①頭頂部(百会)の前後
②頭の横部分 
③眉間(印堂)


③眉間(印堂)
④眉毛の外端(太陽)


正確なツボの位置

⑥胸の正中線=胸骨の上
⑦脇の内側の圧痛部分(押して痛いところ)

⑦手首の内側約3センチ上(内関)
⑧手首の内側を叩き合わせる(神門)



⑨手首の外側約3センチ上(外関)
こぶしを握って小指側で叩きます


★手首を段違いに合わせて叩きます


★手首を交差する様にして小指側
の手首を叩き合わせます

⑩足の親指と第二指の間を少し上がった部分(太衝)を含む足指の付け根全体をタッピングします
まとめると以下の10ヶ所になります。

①頭頂部(百会)の前後
②頭の横部分 前から後ろに向かって叩く
③眉間(印堂)
④眉毛の外端(太陽)
⑥胸の正中線=胸骨の上
⑦脇の内側の圧痛部分(押して痛いところ)
⑦手首の内側約3センチ上(内関)
⑧手首の内側を叩き合わせる(神門)
⑨手首の外側約3センチ上(外関)
⑩足の親指と第二指の間を少し上がった部分(太衝)を含む足指の付け根全体



■◆ツボ探検隊風 THT(Thought Field Tapping)療法の進め方◆■







まずゆっくりと口を尖らせてろうそくを吹き消すような感じで息を吐きながら、現在のもっとも苦しい問題について考え始めます。目はつむっている方が良いでしょう。息を吸うときは鼻から吸うようにして下さい。どうしても鼻からだけ吸うことが苦しい時は鼻と口の両方から吸っても良いです。そこでこの問題が自分を苦しめている現在の状況を採点してみてください。

●採点方法●

●過去を含めても今が最悪の苦しい状態=10点
●いつも通りにほぼ最悪の状況=9点
●考えていると大変苦しくなる状態=8点
●いつもと同じ程度に苦痛である=7点
●確かに考 え 始 め る 苦痛である=6点
●考えていると苦しくもあるが平常心も失っていない状態=5点
●苦痛はあるが気持ちには落ち着きが出ている状態=4点
●苦痛はそれほどでもなく気持ちはかなり落ち着いている=3点
●この問題について考えていても余り心に動揺が生じない=2点
●何となくこの問題がどうでも良い事のように感じられる状態=1点
●この問題から完全に解放されている最良の状態=0点。

現在の自分の点数をチェックします。
出来ればこの点数をメモっておきます。







この問題について考えながら現在の点数から少しずつ辛さが減少して点数がゼロに近づいていくことをイメージしながらまず①の頭のてっぺんを口笛を吹くように息を少しずつ吐きながらタッピングします。すっかり吐き終わったらゆっくり下腹を膨らませながら息を吸います。次に再び息を吐きながら問題に付いて考えてツボを叩きます。タッピングは息を吐きながら2回の呼吸で一ケ所を行います。その後 ②頭の横、③眉間のツボ、④眉の端っこのツボ⑤耳の後ろのツボ、⑥胸の正中線、⑦の脇の近くの圧痛点までを同様にして叩きます。このようにして①~⑥までをタッピングした後でもう一度最初と同じように問題点を考えて採点します。
その結果、点数が2点以上改善していれば第3ステップに進みます。 そうでない場合は問題点から解放されすっきり気分が良くなっている自分をイメージしながら ⑦手首の内側少し上(内関)と ⑧手首の内側を叩き合わせる(神門) ⑨手首の外側少し上(外関)を握りこぶしで叩きます。 その後でもう一度採点します。 2点以上改善していれば第3ステップに進みます。 改善していない場合は⑨の足のツボをプラスして①~⑨までのタッピングを改善していく自分を想像しながら繰り返し行います。







Ⅰ:頭を空っぽにして何も考えずにゆっくり呼吸しながら①~⑤までのタッピング
Ⅱ:問題点から解放されて0点になった自分を想像しながら  ①から⑨までのタッピングを行います。
Ⅲ:心がリラックスできる一番好きな風景、光景、又はアイドルなどの自分の好きな写真を思い浮かべながらお腹に手を当てて腹式深呼吸だけをゆっくり5回行います。
このⅠからⅢまでを行った後で採点します。

次回は少なくとも半日ほどは時間を置いて行います。
刺激療法には慣れ現象が付きモノです。 慣れを起こさないためにもオリジナルのTFT療法と交互に行えば良いと思います。

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